THE WALLFLOWERS

RED LETTER DAYS (2003, Interscope)



 ジェイコブ・ディランとウォールフラワーズの2年ぶりの新譜は、どういう繋がりなんだかプロデューサーが何故かメタル系のエンジニア(トニー・アイオミ、コーン、アデマ)上がりのトビアス・ミラーという意外な人選。どんなもんかねえ、と思いながら聴き始めると最初4曲くらいは80年代ハードポップ風だったり、やたらベース音の効いたU2風だったりとかなりとっちらかった印象でおいおい大丈夫かよ、と思わせるのだが、「Three Ways」くらいからそれまで乱気流に揉まれてふらふらしていた飛行機の機体が俄にふわっとジェット気流に乗ったかのように急に楽曲とサウンドの調和が安定していい感じに。よく聴いているとこのアルバム中盤くらいに楽曲としても出来のいい曲が並んでいて「If You Never Got Sick」のような軽快でアップビートな曲と「Health And Happiness」のような陰鬱ながらジェイコブ「らしい」曲が交互に構成されていて、全体大きな波のようなグルーヴの中に浸ることができる。フーファイの「Big Me」を思わせるややノー天気な「Here In Pleasantville」と隠しトラックになっているこれもジェイコブらしい哀愁の最終曲で締めくくられるこのアルバム、何度か聴かないと滲みてこないタイプのアルバムだし、この手の音は今もう少しメインストリーム寄りのマッチボックスの独壇場なだけになかなか辛いとこだが、作品の質は充分だけにみんな見捨てないで、更なるブレイク作の登場を待ってやって欲しい。(阿多)
(BREACH) (2000, Interscope)



前作が600万枚以上売れたウォールフラワーズ4年ぶりの新作。初登場でTOP10にも入らず、シングルも全く売れなかった。もし売る方が「他のメインストリーム系と違ってヴォーカルにカリスマ性があるし、多少リリースが遅れても売れるだろう」なんて考えだったとしたらちょっと甘かったかな。結局世間は彼らのことをクリードやマッチボックスで代替可能な1バンドとしか捉えていなかったのだから。厳しい書き方だけど、実はアルバムの出来は良い。前作のヒットはプロデューサーのTボーン・バーネットの功績が大きかっただけに、じゃあ次は誰だと思ったら何とマイケル・ペン。この渋い人選にもかかわらず「Sleepwalker」なんてキャッチーな曲もあるし、強引さのないメロディとか状況描写に長けた歌詞とか、まだまだ他の凡百のロック・バンドに対するアドバンテージは失っていない。それだけにセールス惨敗はちょっと残念だけど、これで「売れ線」の束縛から離れられるとしたらかえってよかったのかも。ジェイコブはお金には困んないだろうし。(松本)
BRINGING DOWN THE HORSE (1996, Interscope)



素直に愛情を表現できない不器用な男。ぶっきらぼうで、無愛想に見えるんだけど、実は内にすごく熱いものを秘めていて、照れ臭くてそれを表現できないでいる。あくまでも硬派であるというポーズを守り通すために、みすみす目の前のチャンスを逃してしまったり。こういう骨のある男臭いロックって久しぶりに聴く気がする。96年の初夏に発売され、地味なセールスのまま終わるかに見えたが、97年になってようやく売れ始めた。Counting Crowsの1st以来、「地味だけどすごくいい」作品を作らせたら右に出る者のいないT-Bone Burnettのプロデュース。私の中では94年のC.Crows、95年のJayhawks、そして96年のWallflowersという位置付け。こういうジャンルって日本では特に評価されにくくて、音楽雑誌でもほとんど名前を見かけることはないんだよね、好きな人は凄く多いと思うんだけど。ボーカルのJakob DylanはBob Dylanの息子だけど、そんな事よりはこの音で判断して欲しい。(真貝)


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