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ALICE
(2002, Epitaph) |
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トム・ウェイツの2枚同時リリースのうちの1枚。「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」を元に劇作家のロバート・ウィルソンが書いたミュージカル劇「アリス」。これに、トムがスコアを書いたのが92年。これをレコーディングしたいという思いはずっとあったようだが、10年を経てようやく実現したのが本作、ということになる。
彼の初期作品を思わせるジャジーな「Alice」で幕を開け、トム・ウェイツ以外の何者でもない音世界が展開される。正直、彼の音楽が「アリス」の世界にこれほどハマるとは、考えてみれば自明のことなのだが、こうして実際に聴いてみるまで思い付かなかった。風変わりで、非現実的で、ファンタジックで、時に生々しい。高層ビルの谷間に、ある日ふっと偶然見つけた、はかない白昼夢の世界への入り口。しかし以後、いくら探しても二度と同じ場所で見つけることはない。現実だったのか、夢だったのか。
いや、実は“入り口”はここにある。48分間の異空間体験。単なる“変わった音”や“実験的な音”ではない。老練の語り部の魔法を堪能すべし。(しんかい)
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BLODD MONEY
(2002, Epitaph) |
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「Alice」と同時発売の本作。どちらも劇作家ロバート・ウィルソン作品のために書き下ろした作品を改めてレコーディングしたものなので、2枚をまとめて“同じようなもの”と片付けてしまうこともできる。が、実際に聴いてみると印象はずいぶん違う。簡単に言ってしまうと「Alice」のほうは幻想的な作品で、本作は社会風刺的な作品。
モノクロ映画から流れてきそうな、切なく儚い「Coney Island Baby」を初め、楽曲は非常にシンプルで、素直だ。それをめちゃめちゃ凝った演出で、独特の音で聴かせるのがトムの真骨頂。「1929年製の57個の笛付き空気式カリオペ(蒸気式オルガン)」や「インドネシアにのみ生息するボタングの木を乾燥させた4フィートの莢」といった楽器/非楽器を操り、誰も聴いたことがない音世界を展開する。それでいて、音を聴いた印象は“昔の音みたい”なのだ。モノクロ映像の、モノラル録音の時代の音。昔の遊園地のメリーゴーランドの音楽みたいな。もちろん実際にはあの時代にはこんな音はなかったんだけど、あの時代を“想わせる”音なのだ。
「善い行いをしてれば天国に行けるって/冗談じゃない、どっちにしろ地獄に行くんだろ」「船が沈んでいく/おあいにくさま、神様は今お仕事で出張中」「善い奴ってのはなかなか見つからない/俺のベッドにゃ知らない奴が眠ってる/俺の好きな言葉は“さよなら”」なんて悪態をつくトム。それがこんなにも人なつっこく、ユーモラスに聴こえてしまう。恐るべき才能。恐るべき奇人。(しんかい)
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