RUFUS WAINWRIGHT

POSES (2001, DreamWorks/Interscope)



 トップ40ファンには1972年のノヴェルティ・ヒット「Dead Skunk」で知られたヒネクレ・フォーク・ポップ・シンガー、ルードン・ウェインライト3世を父に、カナダのフォークシンガー、ケイト・マクギャリグルを母に持つルーファスが3年振りにセカンドをリリース。ファーストでもそうだったが、ティンパン・アレー的シンガーソングライター然とした曲調をベースにラグタイムとかキャバレーミュージックとかヴィレッジ・フォークとかいった要素を渾然一体と融合させ、いかにもイースト・コーストのトルバドール・シンガーといった雰囲気をプンプン漂わせている。こうしたスタイルは正に父親の系譜を受け継いでいると言えるが、ルーファスの場合より70年代ロックの意匠を強く滲ませているのが特徴であり、今回のアルバムにはその面が1作目よりも如実に現れている。自分の歌声で塗り込められた前作と異なり今回は妹のマーサや、リチャード・トンプソンの息子テディ・トンプソン(この2人とルーファスがアコギ1本でハーモニーする「One Man Guy」は父ルードンの曲のカバー)、果てはプロペラヘッズのアレックス・ジフォードらのゲスト陣との共同作業になっているのも前作とやや肌合いが異なっている原因か。「Cigarettes And Chocolate Milk」「Evil Angel」「In The Graveyard」などダダイズムの香りを漂わせる詞を時には暗く、時には軽快に、時にはピアノ一本で清冽に聴かせるルーファスの歌声には21世紀とは思えない古色蒼然とした肌合いとシニカルなロマンチシズムが溢れていて、改めて才気の程を感じさせる。(阿多)
RUFUS WAINWRIGHT (1998, DreamWorks)



 音楽家を両親に持つシンガーソングライターのデビュー作。Lenny Waronkerの総合プロデュースやVan Dyke Parksがストリングスアレンジを担当,と聞くとバーバンク的,オーケストラを交えたかつサイケデリックな香りの強いものを連想するが,趣は異なる。ピアノを主体とした弾き語りによるその混沌としたサウンドはとても一言では表現できない。彼が一時期ハマったというオペラの影響もあってか,非常に演劇性の強い世界が展開されているが,そこにはアメリカ民謡,ティンパンアレイ,ミュージカル,Brian Wilson的ヒネクレポップス,映画音楽,と白人系アメリカンミュージックの伝統が一気に凝縮されているかのようだ。以前ならこうした作品は21歳の若者の創作として極めて異色なものとして異端視されたかもしれない。だが,音楽スタイルの越境化が進行する現代においては突然変異とは言えまい。もっとも吸収した音楽の血肉化度からすると,編集感覚で様々な音楽を自分の要素として取り入れるアーティスト達とはまたスタンスが異なっているが,彼もまた魅力的なタレントを備えているのは間違いない。(信沢)


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