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Caetanoはデビュー以来30年を経てなお現在も第一線で活躍し、ブラジルで今や彼の影響下にいない者はないといえるほど大きい存在である。それは、音楽のみならず、アーティストとしての言動、姿勢が人々の共感を呼ぶからである。ブラジルで田舎扱いの北東部バイーア地方出身ながら盟友Gilbert Gilとトロピカリズモでブラジル音楽を刷新、時の軍事政権に危険視されたこともある、といったよく語られる時代以外に低迷期も経験している。このアルバムにはそういった長いキャリアを持つ人ならではの豊かな表現力が感じられる。多彩なリズムの妙に身を委ねるもよし、年齢も性別も超越した繊細で陰影に富んだ囁くようなヴォーカルに耳を委ねるもよし。哲学的ともいえる詩にはメッセージを読み解く楽しみがある。いずれの要素をとってみても音圧や技能で耳を引くような単純なレヴェルのものではない。耳から脳を微妙に心地よく刺激するこの奥深さ。60年代のトロピカリズモをもたらした作品、才人Art Lindsayとの邂逅による広くロックファンをも虜にした作品とも異なった、97年のCaetanoならではの年輪の厚みを感じるアルバムである。(信沢)
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