|
前作『The Man Who』で新境地を確立し、グラスゴーの一バンドから一躍イギリス国内での人気とインターナショナルな認知度を高めたトラヴィス。今回はその路線を踏襲した真摯で心に響く澄み切ったサウンドとメロディに満ちた曲を満載したアルバムとなっている。こう書くと何となくフォーミュラ化してしまったように見る向きもあろうが、彼等の場合むしろ前作で自分たちのものとしたのは、ちょっとビートルズエスクな親しみやすいメロディとスコットランドの澄み渡る空のように清冽なサウンドに人生や男女関係における心の内側を淡々と描写した詞を乗せるというものであり、メロディの親しみやすさだけで聴き流すこともできれば、詞の内容を噛みしめてもうひと味楽しむことも出来るという代物なのだ。日本でいうとちょっとミスチルあたりにポジショニングが似てきているような気もするが。「Sing」「Side」「Safe」そしてアルバム最後を飾る「The Humpty Dumpty Love Song」など佳曲揃いの本作、タイトルは前作で世界的にブレイクしたにも関わらずアメリカでは未だにライヴをやっても「誰?」的に扱われたので皮肉の意味も込めてとのこと。健全な成り上がり主義も出てきたと言うことで頼もしい限りだ。(阿多)
|