TONY! TONI! TONE!

HOUSE OF MUSIC (1996, Mercury)

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[editor's choice !] 傑作「Sons Of Soul」から3年、この間映画「Higher Learning」のサントラにスキヤキをモチーフにした「Ask Of You」の提供、話題のD'Angelo「Lady」の共作・客演・プロデュース、Sean "Puffy" Combs一派のTotalへの曲提供・プロデュースなど、そこここで気になる動きをしていたのがトニトニトニのRaphael Wiggins改めSaadiq。R&Bファンが待ち望んだ新作やいかにと1曲目を聴いた途端、やられた!これはメンフィスソウル、いやアルグリーンではないか。と聴き進むうち、60〜70年代のフィラデルフィア、アトランティック、シカゴ、メンフィスなどのR&Bのエッセンスをてらいなく、気負わず、自らのサウンドに統合し練り上げたサウンドを繰り出すWiggins兄弟のたくらみに僕はずぶずぶとはまりこんでいった。しかし誤解してはいけない。このアルバム、ただのレトロ趣味でも巷にありふれた70年代サウンドパクリものでもない。サンプリングなどのギミック一切なし、90年代のR&Bは俺たちのもの、といった感じの余裕さえ感じるサウンド、3年待った甲斐ある文句なしの名盤といっていい。冒頭の「Thinking Of You」、シーラEがパーカッションに参加しており、マーヴィンゲイ的グルーヴが素晴らしい「Lovin' You」、エンチャントメントあたりのデトロイトサウンド風の「Wild Child」などの佳曲揃いで、アルバム全体のトータル感も素晴らしい。ニュークラシックソウルなどというケチなレッテルを超越してるトニトニトニに脱帽。(阿多)


[editor's choice !] Tony Toni ToneはR&B好きの間では既に確固たる評価を得ている。前作「Sons Of Soul」で名声を得、本作でそれを揺るぎないものにした。ところがセールス面では、本作はまったく奮わなかった。シングルヒットも生まれなければ、アルバムもトップ20にさえ入っていない。では、本作が通好みの渋い内容か、というと、答えはNo。はっきり言って、セールスの不振はレコード会社のプロモーションの失敗が原因だと私は見ている。だって、他にマイナス要素はないもの。  1曲目を聴いた途端に頬がゆるむ。往年のAl Greenそのまんまのサウンド。メロディ、ギターの入れ方、コーラスからボーカルの癖まで。本人が今新作を出しても、これほど「70年代のAl Greenに似ている」サウンドは作れないだろう。他にもEarth, Wind & Fireそっくりの曲があったり、MOTOWN風があったり、サザンソウル風があったり。ヒップホップの世界で「サンプリング」や「引用」による過去の作品の利用が当たり前になったが、過去の作品のもっていた「空気」を再現したこの作品は異色だ。もちろん、それでいてどの曲もしっかり「Toniesの音」であるという確信に満ちているからこそ素晴らしいのであり、支持もされるんだと思う。後半のスロー連発でややダレるのが惜しいが、完璧な音作り、美しい旋律、間違いなくR&Bクラシックスとして聴き継がれていくだろう。(真貝)


[editor's choice !] 「ニュー・クラシック・ソウル」、この言葉で括られる音楽が最近増えてきたが、既に80年代末から活躍しているこのオークランド出身の三人組の生み出す作品こそそう呼ぶに相応しい。彼等の動向が本格的にシーンの注目を集めだしたのは大傑作「Sons Of Soul」をモノにして以後だが、果たして本作はそれを遥かに凌ぐ完成度の高い作品となった。先達の残した遺産の意匠を巧みに取り入れつつこの三人組の作品としての生命が与えられている、というのも既に使い古された表現で恐縮だが、一曲毎に感じられる彼等が持つ音楽的要素の奥深さには感嘆の念を禁じえない。こういうのもありますよ、と次々に用意される引き出しの多さ、大きさ、深さ。そしてその咀嚼力のレベルの何と高いことか。ここまで出来るのは自分達の音楽を作るにあたって常に過去の偉大なソウルに敬意を払うという高い意識が各メンバーにあるからだろう。だが、彼等の音楽は聴く者を選ぶようなマニアック指向のものではない。音楽的に敷居の高さを感じさせない点が更に素晴らしいのだ。聴き始めてすぐにスッと誰の耳にも馴染んでくる親しみやすさ、これを生み出すのは並大抵のことではない。彼等には曲作りの妙もさることながら、あくまでソウルを愛する聴き手に愛される音楽を作り出していこうという姿勢があるからそれが可能となる。これはソウルへの愛情表現という点で96年はおろか90年代を代表するアルバムの一つといえる。(信沢)


[editor's choice !] ここ数年メロウなR&Bものが好きで。買う新譜といえばそんなものばかり。で、それらのアルバムがいちいち良かったりするからますます深みにはまっていくという。  で、そんな96年のある時期、音楽誌を読んでいたら実は僕がこれまで親しんできていたそれらのメロウなレコードたち(94年のZHANEや95年のD'ANGELOなど)がいつのまにか"New Classic Soul"という新しいジャンルで一括りにされていたというこの不思議。その中で特に後づけ的に高い評価を受けていたアルバムの一つが彼等の前作「Sons Of Soul」であった。俄に盛り上がった"実は非常によかった"という再評価の中、恐らくそういった流れを非常に意識しながら作られたのが本作である。  "New Classic Soul"と言われるこのところの一連の作品群が後々歴史的に再検証されることがあるかどうかは現時点では判らないのだが、もしされるとしたらこの作品はその流れの頂点に位置する存在、もしくは頂点を超えてしまった(Over The Top=やり過ぎ)存在として語られることとなると思う。これはもはや"New Classic"ではなく単なる"Classic Soul"の再現ではないかと思えてくるほどの徹底ぶり。気持ちいい。確かに気持ちいい。でもこれって1996年の音楽として存在意義はあるのだろうか、などと疑問に思ったりもするのだが、この気持ち良さに負けてついつい繰り返し聴いてしまう。うう、弱いっス。(八亀)



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