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何とも渋くて、ロマンティックなアルバムだ。トム・ウェイツとかレナード・コーエンのように男の強さと情けなさを同時に語りかけてくるような音。このあまりにも濃厚なヨーロピアン・ダンディズムの粋がフランスで人気があるというのはよくわかるし、またこれだけ質が高い作品にもかかわらず日本発売がないというのもよくわかる。ロンドン出身の彼等のこれが3枚目、プレスでも高く評価された前2作(デビュー作はメロディーメーカー紙年間1位)よりもさらに音の深みと広がりをましている。何といっても最大の魅力はこのヴォーカルだろう。黒光りするような、艶のある、官能的な声は一瞬で耳をとらえ、美しくも虚無的な世界へと引きずり込む魔力を持っている。そしてそのヴォーカルと呼応しながら曲をドラマティックに彩るストリングスも絶妙で、一度聴いたら忘れられない強烈な印象を与える独特のサウンドを構築している。間違っても太陽の下で聴いてはいけない、大人のアルバム。(野坂)
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