TIMBALAND

INDECENT PROPOSAL - Timbaland & Magoo (2002, Blackground)



 アーリヤの損失は、彼女のブレイク以前からレーベル仲間として、サウンド・コラボレイターとして関わってきたティンバランドとマグーの2人に取っても当然大きなショックだったようで、この2人のコラボレーションによる4年ぶりのアルバムは、全体を通じてやや抑えられたトーンになっている。あのアヴァンギャルドで旋律やリズムを破壊しながら独特の様式美を組み立てるプロデュースワークで数々のアーティストとの仕事をこなしたティンバもここ1-2年は、ノース・キャロライナのピーティ・パブロやジョージアのババ・スパークス等の新進のブレイクや、ファミリーのミッシー、トゥイート、Ms.ジェイドといった面々のサウンドを中心に手がける、外向的というよりも内包的な活動が増えていた。そんな矢先のアーリヤの他界である。読み過ぎかもしれないが、ここに納められたファミリーの面々にサポートされた17曲は、相変わらず手堅くティンバランドらしいアイディアを凝らしたトラックで組み上げられてはいるが、旋律を破壊しながらグルーヴを作り出すというよりも以前に比べてそれを抱き込みながら一体になったグルーヴを作り出す、という方向になっている気がする。
 だからここにはあの刺激的でセクシーな「Up Jump Da Boogie」のような目を見張るトラックはない代わりに、ティンバの変態リズム(以前ほど変態でもないが)、マグーの「ピキピキ...」という擬音ラップ(なぜか今回ミッシーは不参加)、その他の客演のピーティ・パブロやトゥイスタ、Ms.ジェイド果てはリュダクリスといったラッパー達のやや鼻歌がかったフロウ、そして時折プレイヤのスタティックの歌等が渾然一体となってうねりのようなグルーヴとなっている曲が多い。しかし思わず耳を奪うのは最後のナンバー「I Am Music」。イントロはアーリヤの歌声をサンプリングした旋律で始まり、後半からアーリヤの肉声がぐっと登場し、静かにアルバムの幕を閉める。およそティンバらしくないこの構成、彼らにとっての一種の浄化作業として見ると頷けないこともない。今後ティンバは従来のサウンド・クリエイターとしての活動よりもこうしたコーディネイターとしてのスタンスを取って行くのだろうか。(阿多)
TIM'S BIO: LIFE FROM DA BASSMENT (1999, Blackground / Atlantic)



 TimbalandことTim Mosleyによるソロ名義での初アルバム。注目すべきは主力級の部下であるMissyやGenuineらの起用を抑えている点だ。代わって迎えられているのはMosley/Blackgroundがこれから売りだそうという面々。デビュー前に露出度を高めてセールス費用をかけずに知名度を上げるという今時のビジネス手法を彼もとり始めたわけだ。ところで本作では,企業のCI戦略さながらに変則的なビートや効果音,ラジオヴォイスといったTimbalandスタイルは踏襲されてイメージの継続は図られているのだが,今までのTimbalandにない躍動的な印象を受ける。新しい意匠が加味されているのである。前作からのカット「Clock Strikes」がオリジナルをアップテンポにリミックスして好評だったことに気をよくしてか,本作は比較的アップの曲が多い。正確にはアップというだけではなく,ビートに力強さを増したという感がある。Jay-Z参加の(6)などは外部参加が刺激になったか一般リスナーにも訴求力が高いダンスミュージックだ。Timbalandはまだまだ注目すべき男である。(信沢)
WELCOME TO OUR WORLD - Timbaland & Magoo (1997, Blackground/Atlantic)



 非常に地味で単調なアルバムである。しかし、クセになる。名義はティンバランド&マグーとなっているが、ミッシー・エリオットも含めたティンバランド・ファミリーの作品と言える。あの不気味なシングル「Up Jumps The Boogie」でさえ、このアルバムの中では非常にキャッチーな曲に聴こえてしまう。そのぐらい地味なアルバムだ。まさにタイトル通り唯一無二の彼らの濃〜い世界がこれでもかというぐらいに展開される。非常に特徴的な彼等の音が嫌いな人は涙なくしては聴けない。思うに、ティンバランドのすかすかの音は、歌モノにこそ合う。実際、これまでシングルヒットしたのはアリーヤ、ジニュワイン、トータル、それにミッシーといった歌モノばかり。さっそくこのサウンドを真似てる目敏いジャーメイン・デュプリもその辺はわかってて、アッシャーの「You Make Me Wanna...」という特大ヒットを生んだ。だから、ラップが大半のこのアルバムはかなりマニア度が高い。ティンバランドの音がほんとに好きな人向け。(しんかい)


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