THE STREETS

ORIGINAL PIRATE MATERIAL (2002, Locked On)
ここでこのアルバムが買えます  ザ・ストリーツことマイク・スキナーは77年ロンドン生まれ。01年のシングルデビュー以降、このデビューアルバムに至るまで大絶賛され、ブリティッシュ・エミネムとか、UKガラージ界のボブ・ディランだとか言われてきている。彼が紡ぎ出す言葉には、それだけのインパクトがあった。エミネムよりはずっと散文的で詩的だし、ああいう仕掛けに満ちたエンターテイメントな作品ではないので、宣伝文句にだまされて誤解してはいけない。存在感としては、1979年のスペシャルズである。うだつの上がらない労働者階級の日常。ドラッグ、ナンパ、喧嘩、酒、音楽。これが人生のすべて。UKガラージ・サウンドに乗せて語られるドキュメンタリー。英国訛りで韻を踏んでいく独創性が、アメリカのラップを聴き慣れた耳には特に衝撃的だ。彼自身アメリカのヒップホップに夢中になり、アメリカのアクセントでラップしていた時期もあったようだが、既存のスタイルの物真似はやめた。それが、この独自のスタイルであり、エミネムに準えられる所以でもある。オープニングの「Turn The Page」の気高いライムと、派手な仕掛けを使わずして聴き手の精神をじわじわと高揚させる出来映えは見事だ。シングル曲の「Has It Come To This ?」の瑞々しさ、「Don't Mug Yourself」の楽しさ、スペシャルズに通じる強烈な“英国大衆文化”を感じさせる「The Irony Of It All」、ラストの「Stay Positive」で説教臭くならないように一生懸命気を配りながら投げかけるメッセージ。ドラッグ絡みの話がやたら多いのには閉口だが、すべてに独創性があり、リアルだ。2002年のベストアルバムの一つだというメディアの評判は、まったくその通りだと思う。名盤。(しんかい)


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