ROD STEWART

IT HAD TO BE YOU...THE GREAT AMERICAN SONGBOOK (2002, J)



 ロッド・スチュアートがクライヴ・デイヴィスのJレコードに移籍し発表した第一弾アルバム。 “策士”デイヴィスもプロデュースに名を連ねるこのアルバムは、1940年代に生まれた作品を中心とした“アメリカン・スタンダード集”となった。
 これは勿論周到なマーケティングによる企画なのだろう。目立って大きな仕掛け(往年の大物との共演とか)はなく、フィル・ラモーン、リチャード・ペリーといった定番プロデューサーとともに彼はバラード三昧の世界を展開。“スタンダード=バラード”ではないので選曲はちょっと面白みに欠ける感もあるが、安心して、ゆっくりと楽しめる作品になっている。このアルバムを入口に、かつての名歌手たちの名唱を探し出すような音楽ファンが増えてくれれば、なおさらいいことである。
 結果的にこのアルバムは彼にとって久しぶりの好チャート・アクションを記録。このレビューがサイトに載る頃には既に同企画第二弾も発表と、我々は再び“クライヴ・マジック”を目の当たりにすることとなった。Jレコードの収益も上々、ロッドもツアーの見せ場が新たに一つ増えたと、双方万々歳。あとこのシリーズを仕上げるとなれば「An Evening with Rod Stewart presenting "The Great American Songbook"」をスタジオライブで収録しDVDで発売するのかな。本当に実現しそうで恐い。(八亀)
HUMAN (2001, Atlantic)



 四半世紀以上にわたり在籍したワーナー・ブラザーズからソウル・ミュージックの名門アトランティックへの移籍第1弾。全体的にアップ・テンポなロックナンバーは影を潜め、ミディアムからスローな、言葉を変えれば非常に聴き易いAOR的な雰囲気。しかしてその歌いぶりはレーベル・コンセプトを十分盛り込んだソウルフルこの上ない。1曲目から飛ばしてくれる。苦労の末売れたとたんにプロモ活動などのわずらわしさに嫌気が差してアーティスト活動から身を引いてしまった元ニュー・ラディカルズのグレッグ・アレキサンダーとリック・ノエルズとの共作「I Can?t deny it」。続くは97年に自身「Earthbound」というアルバムで時の話題を占めたコナー・リーヴスが曲作りに絡んだ(6曲目も)タイトルソング「Human」。ドラムンベース調のベーストラックが新鮮。加えてギターには元ガンズ・アンド・ローゼズのスラッシュがスリリングなギタープレイを披露している。3曲目には異才メイシー・グレイが共作者に名を連ねるなど意欲的なオープニングで幕を開ける。以下カーティス・メイフィールドや日本盤にはプリンスの曲を取り上げるなど実に黒っぽい選曲になっている。まさにソウル・ブルース・ヴォーカリストとしての面目躍如と言ったところ。56歳にしてこのエネルギー、円熟した中に若々しさをあふれさせるような歌唱力とは頭が下がる。「ヴォーカリスト」としてのロッドがお好きな人には是非ともお勧めしたい好盤。(小松)
WHEN WE WERE THE NEW BOYS (1998, Warner Bros.)



 はっきり言って前作にはガッカリだった。何よりも歌にエネルギーが感じられず、「Unplugged」以降見え隠れしていた予定調和というか一種大物然とした嫌らしさみたいなものが前面に出てしまっていたから、1回か2回聴いてお蔵入りさせていた。そんなこんなで今回あのスモールフェイセズの『Ooh La La』を初めとしたカバー集と聞いた時も半信半疑だったが、聴いてみたところ何とのっけからオアシスの『Cigarettes And Alcohol』。これが何とも躍動感一杯で、まるで70年代のロッドに戻ったかと思うほど若々しく、不自然でないところもいい。他にもプライマル・スクリーム、ニック・ロウ、ロン・セクスミス、グラハム・パーカー(!)など意外なものから「やはり」というものまで、一部はエルヴィス・コステロの選という、絶妙な選曲が並び、生き生きとしたロッドのパフォーマンスが楽しめる。聞けばUKプレスの受けもまずまずとか。こういう形で50代ロッカーが年相応の復活を果たしたことをまずは素直に喜びたい。(阿多)


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