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THE RISING
(2002, Columbia) |

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この前のボスのスタジオ作は何だったっけ、と思ったら何と7年前(1995)のあの陰鬱ながらヴィヴィッドなアコースティック作品『トム・ジョウドの亡霊』だったのだ、と思い当たった。その7年間の空白を置いて届けられた本作は、ダイナミックで重厚なサウンド作りでは定評のあるブレンダン・オブライエンをプロデュースに迎え、バンドサウンドを核にしたびっくりするほど瑞々しい作品を満載した作品となった。淡々と日常の感性と思索をシンプルな詞とストレートなコードストロークを中心とした楽曲に乗せるだけで聴き手を陶酔させてくれるこのサウンドは(ありきたりな言い方を許してもらえれば)ブルースの原点に立ち返った、今まで霧に覆われていたものがぱーーっと晴れたようなそんな作品だ。
思えば7年間は決して空白ではなく、その間にはロックンロールの殿堂入りを果たし、何とあの『Born In The U.S.A.』以来になるEストリートバンドとの邂逅を経て久々の全米ツアーでは天啓とゴスペルに満ちたスピード感満点で驚くほどエネルギッシュなライヴで思いっきり我々にロックンロールのカタルシスを経験させてくれ(今でも昨年6月のライヴの体験は忘れられない)、アマドゥ・ディアロ事件を扱った「41 Shots」でNY市警と一悶着起こしたりしていろいろな経験を経て、自分とは、自分のやりたいことは、そして何を表現したいかを見つめ直すのに必要不可欠な時間だったに違いない。そこへあの9-11を経験し、たどり着いた結論が拍子抜けするくらい普通だが「バンドで、日常の中で自分が考えること、感じること、問題意識を持つことについてストレートに表現する」というものだったに違いない。
ここにはあの『Human Touch』『Lucky Town』の迷いも、『Tom Joad』のダウナーさもない。あるのはタイトルナンバーや「Empty Sky」「Lonesome Day」といった作品に見られるひたすらストレートに演奏し、自分を表現するボス、うきうきして純粋に盛り上がれる「Mary's Place」「Waitin' On A Sunny Day」のように音楽を楽しむボス、「My City Of Ruins」で9-11の犠牲者とNYの痛手を身に感じて真摯にみんなの復活を願うボスがいる。バンドの演奏もがっちりとそれを支えている。いくつかの曲でややダレることを除けば、これは『明日なき暴走』『リバー』『ネブラスカ』に匹敵する水準の作品だ。ボスを支持してきたファンにはとてつもなく嬉しい贈り物となった。感謝。(阿多)
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LIVE IN NEW YORK CITY
- Bruce Springsteen & The E Street Band (2001, Columbia) |

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『Ghost Of Tom Joad』など内省的でフォーキーなアルバムが続いていたボスが、久々にEストリート・バンドと再会して行った2000年夏のツアーから、6/29と7/1のマディソン・スクエア・ガーデンでのライヴを収めた2枚組ライヴがこれ。既に僕が見に行った6/15のライヴのレビューをここにアップしてあって読んだ方もいると思うので、ライヴ自体の詳細はそこを見てもらうとして、何よりもボスのゴスペル宣教師のような異様な盛り上がりと、それに120%呼応してボスとの活動を休止する前のパワーをさらに増幅したパワー満点のバンドサウンドを聴かせるEストリート・バンドのノリの凄さは正に鳥肌もの。特に例のアマドゥ・ディアロ射殺事件を扱った新曲「American Skin (41 Shots)」(これは9/11以降はおそらく封印されてしまったのでは。何せNYPDを遠回しに糾弾する歌なんで...)、それからディスク2の冒頭16分間、ボスの大見得切りまくりの絶叫型ゴスペル・レビューとメンバー紹介でノリにノリまくる「Tenth Avenue Freeze-Out」(途中でアル・グリーンの「Take Me To The River」のメロディも顔を出してニッコリ)でのエネルギーたるや尋常でなく、ただひたすら圧倒感動モノ。同じタイミングで、このライヴの映像がたっぷり3時間以上に渡って満喫できる2枚組DVDが発売されていて、こちらにはアルバム未収録の「Light Of Day」「Darkness On The Edge Of Town」「Thunder Road」などおいしいライヴも収録されているので、ファンの方はこちらも絶対買いです。9/11が起きる前のNYと一体となってカタルシスに昇り詰めるボスとEストリート・バンドの素晴らしい演奏を満喫されたし。(阿多)
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TRACKS
(1998, Columbia) |

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スプリングスティーンは、たとえ本人のお気に入りの曲であっても、アルバム全体の雰囲気にそぐわないような曲は没にしてきた。そして、たまりにたまった数十曲(たぶんもっと)。これまでにシングルのB面で発表された曲もいくつか含まれるが、こうして一挙に67曲もの未発表曲を蔵出しされると圧倒される。マニアじゃなきゃ違いのわからない別バージョンなんてケチなものは一切なし。海賊版でも聴いてなければ初めて接する「新曲」ばかりなのだ。しかも、どれもこれも出来がいいのだよ。特に『闇に吠える町』〜『Born In The USA』の時期は、シングルヒット間違いなしの曲がゴロゴロしてるし、非常に地味になってすっかり「枯れた」人になってしまった印象のある90年代の充実振りにも驚かされた。4枚組9000円(日本盤)とかなり敷居は高いけど、スプリングスティーンのアルバムに1枚でも好きなものがあれば、買うべきでしょう。日本盤は対訳の他、かなり詳細な曲目解説もついているのでお薦め。唯一の難点はジャケが恰好良くないとこかな。(しんかい)
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