|
LET IT COME DOWN
(2001, Spaceman) |
|
女の子の顔の形を模った大胆な変形ジャケ(初回限定。日本盤でも出た)で登場した、スピリチュアライズドの5年ぶりの新作。まあ、スピリチュアライズドの、と言うか、ジェイソン・ピアーズの。NMEの評論家が選ぶ年間ベストアルバムで2位に選出されるなど、相変わらずプレス受けはいい。
オーケストラやコーラス隊を存分に使い、贅沢を極めて分厚いサウンドを構築している。ジャンル分けの難しい音だが、敢えて呼ぶならこれは「プログレ」だろう。まあ、いわゆるプログレ・リスナーはこれを聴いてるどころか存在も知らないだろうけど。分厚い、空間的な音作りで、牧歌的な雰囲気を基本にしながら時にそれを引き裂いてみせる、というあたり、「The Wall」から「The Pros And Cons Of Hitch Hiking」の辺りにロジャー・ウォータースがやろうとしていたことに通じる気がする。
「Do It All Over Again」のビデオクリップは素晴らしい出来映えなのだが、その撮影エピソードがまたとても彼らしい。ジェイソンが、ヘリコプターから吊り下げられて、南アフリカの自然の中を飛び抜けていく。スケールの大きい、雄大なサウンドに相応しいとても美しい映像なのだが、何しろ危険な撮影なので当然ながら最初はスタントマンを使った。しかし彼の動きが気に入らず、結局はジェイソンが自ら飛んだ。しかし動きって...。ヘリから吊り下げられてるだけなんですが...。この、常人には理解できないこだわり故に、このグループはワンマン・バンドなのだろうし、その作品はこれだけ美しいのだろう。(しんかい)
|
|
LADIES AND GENTLEMEN WE ARE FLOATING IN SPACE
(1997, Dedicated) |
|
一部では伝説的な存在とされているサイケデリック・バンド、スペースメン3のメンバーだったジェイソン・ピアース率いるグループの3作目。前のアルバムも非常に評価が高かったが、今回もNME紙が「今年のベストは決まりだ」とするなど極めて高く評価されている。で、その音はというと、この素晴しいアルバム・タイトルを見てもらえれば大体の感じはわかってもらえると思う。邦題は「宇宙遊泳」だそうだが、この空間をただようような眩惑的なギター・サウンドで描き出される世界は危うい刺激と不可解なトリップ感覚を運んでくる。本国イギリスではわざわざ製薬会社にパッケージを作らせ、またインナースリーヴは処方箋を模しているなど徹底したドラッグに対するこだわりも不気味だが、そんなことを気にしなくても十分に頭をぶっ飛ばしてくれるサウンドだ。またメロディーの美しさも絶品で、現在もバンドのメンバーであるケイト・ラドリーとの破局が色濃く影を落とした切ない歌詞とともに、狂気一歩手前のスリリングな作品を作り上げている。(野坂)
|