SONIC YOUTH

NYC GHOSTS & FLOWERS (2000, Geffen)
ここでこのアルバムが買えます 一分の隙もなく構築された前作『ア・サウザンド・リーブス』発売直後のツアーで、彼等は殆どの楽器や機材を盗まれてしまったという。楽器やイフェクターなどは、メンバーが永年かけてカスタマイズしたものだそうで、NYの地下王も、事件直後はさすがに途方に暮れたそうだ。だがそれは、もしかすると、前作でひとつの到達点に至ってしまった彼等に対して、根源的な変化を要求する一種の天啓だったのかもしれない。そう思えるほど、本作の彼等は、どこか神経症的な側面 を常に感じさせた以前と比べて、きわめて自然体な音楽を聞かせる。ソニック・ユースをグランジと形容する人はもうさすがにいないだろうが、ノイズ・ミュージックの一種という表面 的な把握もすでにピント外れである。ジム・オルークを共同プロデューサーに迎えた本作で聞けるのは、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドを起点とする知性を衝動で内包するロックと、オーネット・コールマンなどに代表される最良のフリー・ジャズのテンションとの、交差と融合である。21世紀の音楽シーンで、彼等はマライヤよりも長く語り継がれる存在になる、と私は思っている。(Yaz)
A THOUSAND LEAVES (1998, Geffen)
ここでこのアルバムが買えます  ひとつとして音に無駄がない。必要な箇所で適切な音が鳴っている。本年度屈指の秀逸なジャケット(インナーの写真がとくに素晴らしい)に包まれたソニック・ユース3年ぶりのアルバムは、ノイズや不協和音さえ必然として配置された構築美の極致と言える。それは、『デイドリーム・ネイション』や『ダーティ』では聞くことのできなかった類の、新たなる段階への進化でもある。このアルバムに先がけて、彼らは自主レーベルからノイズやインプロビゼイションを主にしたEPを3枚出しているが、この実験がアルバムの礎になったであろうことは想像に難くない。一般に、ノイズであろうと、意志を持って放たれた音は「音楽」であることに如かないのだが、それが聞き手に受け止められるには、ある種の必然が重要な要素となる。それが『エクスペリメンタル・ジェット・セット』以降の試行錯誤で形を取り始め、このアルバムで確信となった、ということであろう。地味でガチガチの構成だから一般の評価は低いだろうし、サーストンとキムの音楽的ベクトルの微妙なズレも気になるが、これはこれでひとつの到達点ではある。(鎌田)


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