SIMPLY RED

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  名作『Stars』のヨーロッパでの成功と引き換えに、アメリカ受けの良い作品を作ることを止めてしまったSimply Redから、タイトル通りに郷愁を誘うアルバムが届きました。前2作は徹底的に好き勝手やって、ファンの失笑を買ったものですが、それに比べれば随分大人しい印象です。考えてみれば来年でデビュー20周年ですからね。お互い年を取ったものです。
 「アメリカでプロモーションしやすいアルバム」を作ることをレコード会社から強要された憂さ晴らしをしてスッキリしたのか、地味だけどハート・ウォーミングな楽曲が並ぶ佳作だと思います。前2作の余韻が感じられるのは、StylisiticsとBob Dylanのカバーや、Hall&Oatesの「I Can't Go For That」をまんまバック・トラックに配した「Sunrise」くらいで、笑って許せる範囲のものです。
 シングルのカプリング(アナログの時代なら、B面)向きの曲ばかりのB級品と酷評する評論家もいますが、落ち葉舞う並木道や木枯らしの吹く街路を歩くとき、心がほのぼの温まるようなアルバムだと思います。MDやMP3メディアに落として、秋・冬の外出時に持ち歩きたい音楽です。(真田)
BLUE (1998, EastWest)



 シンプリー・レッドというバンドには独特の匂いがあって、聴く者に直接的に訴えかけてくるパワーを持つ曲が多い。そういう曲は文句無しに聴く者に陶酔感を与えてくれる。それがアルバム単位でぶつけられたのがファーストやセカンド、あるいは「New Flame」だった。最近の彼らはそういう爆発力がアルバム単位ではなく、せいぜい曲単位で終わってしまうところが聴いていて今一つ不完全燃焼で終わる原因となっていた。しかるに今回の新作はどうかというと...残念ながらそのパターンからは脱していないというのが結論だ。先行シングルの『Say You Love Me』はいい曲だと思うし、ホリーズのカバーや、デニス・ブラウンなどレゲエのカバーなども新境地を狙っているあたりも好感は持てる。ただそれらが全体のトータル感にはつながっていない。本作も一般的には平均点の出来ではあるが、彼らはもっと素晴らしいアルバムが作れるはずと期待したい。余談だが、『The Air That I Breathe Reprise』は『Jack And Diane』のギターとリズム・トラックに乗せてホリーズの曲を歌うという、お遊び企画。しかしロイヤリティはちゃんと払ってるのか。(阿多)
GREATEST HITS (1996, EastWest)



 「For Your Babies」とか「Stars」とか「So Beautiful」といった曲を一生に一曲でも書ければ、その人は素晴らしいソングライターとして後世にまで名を残せると思う。Mick Hucknallは、10年ほどの活動の中でそんな名曲を何曲も残してきた。地元で最高のミュージシャンをかき集めたSimply Redも、Mickは容赦なく人員を入れ替えて常に最高のメンバーを抱えてきた。このベスト盤では彼以外の歴代メンバーはすべて一時的なゲストミュージシャンと共にごちゃっと「Musicians」「Vocals」というクレジットに名を記されるだけである。この辺から彼は友達がいないとか言われるんだと思うが、彼はプロとしての妥協のない最高の仕事を全うするために、あらゆる手段を尽くし、最高の成果を残してきたのだ。唯一のアルバム未収録曲「Angel」(Arethaの大名曲のカバー)で変に流行を意識してFugeesを起用してヒップホップなんかやってしまったのが、唯一の汚点。あとは、全曲、完璧。(真貝)


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