DUNCAN SHEIK

DAYLIGHT (2003, Atlantic)



 ダンカン・シークのアルバムを久しぶりに聴いた。あの「Barely Breathing」の新鮮なインパクトからもう6年。随分間が空いたもんだ、と思ったら実はその間に2枚出していたらしい。しかし今回のこのアルバムは、あのジュエルの『Spirit』を手掛けてキャリアメイキングな作品にしたてたパトリック・レナードのプロデュースによって、ちょうどファーストでやり残したことをそのままのトーンで再開したような、音像の広がりの素晴らしいサウンドとダンカンのクオリティの高い楽曲とのピッタリマッチした、かなりレベルの高い作品に仕上がっていてびっくりした。この前のアルバムではオーケストレーション中心の作品を展開していたらしいが、その流れでオーケストラ・サウンドとメインのアコギが微妙なサウンドスケイプを作り出し、聴くほどに心地良い。サビがファイヴ・フォー・ファイティングを思わせる「Genius」、うきうきするような軽快な曲調で実はどうしようもなくダウンな気持ちを歌う「On A High」やストーンズの「悪魔を憐れむ歌」を連想させるような詞でポスト9-11を強く感じさせる「Good Morning!」など音だけでなくダンカンの真骨頂を見るようなちょっと屈折したクレバーなリリックがひりりと来るのも魅力。あんまり期待してなかっただけにこの出来は嬉しかった。最近では一番の掘り出し物、是非一聴を。(阿多)
DUNCAN SHEIK (1997, Atlantic)



 最近こういう傷つきやすさとオプティムズムを同居させたリリックと、澄み渡るようなメロディを歌う男性シンガーソングライターは、アメリカのポップ・シーンにはとんと現れていなかった。ちょうど初期のJames TaylorやJackson Browneに通ずる雰囲気の彼のメロディが適度なメジャー度を備えつつ単なる売れ 線に堕していないのは、彼の感性や創価学会の会員で仏教にも興味ありというバックグラウンドだけでなく、ルパート・ハインによる微妙に外しながらも魅力ある音作りを行うプロデュースも貢献しているのだろう。 シングル・ヒットとなり、移り行く恋人の気持ちへの反応を歌った『Barely Breathing』や、神秘的なメロディが心地よい『She Runs Away』、悲しげなメロディに乗せて、人生の障害からは逃げずに乗り越えるしかないんだ、と歌う『Serena』など佳曲が多いこのアルバム、全体的に地味な印象はあるものの、新人男性シンガーソングライターの作品としては秀逸だ。(阿多)

 ファーストアルバムってのが結構好きで。考えてみればそのアーティストがデビューに至るまでの音楽活動の集大成がファーストアルバムな訳で、その内容の濃さにひかれて様々なアーティストのものを買って聴いているのだけれども。さて、「Barely Breathing」がロングヒットとなったDuncan Sheikのファーストアルバムだが、これが彼の持つ非常に繊細な音楽性をよく伝えた好盤に仕上がっている。彼のようなオーソドックスなスタイルのシンガーソングライターがヒットチャートに登場するとなんかホッとしません?ドラマチックなアルバム冒頭曲「She Runs Away」や、聴く度に何故かタレントの鈴木紗理奈ちゃんのことを思い浮かべてしまう(僕だけか)「Serena」など、どことなくブリティッシュ系のロックに影響を受けたようなメロディを聞かせる質の高い曲が並ぶ。Rupert Hinesによるプロデュースも、ストリングスの使用などにより彼の決して上手ではない(しかし雰囲気のある)歌をシンプルかつ的確にサポートし、この作品の価値を高めている。(八亀)


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