RON SEXSMITH

BLUE BOY (2001, Ronboy)
ここでこのアルバムが買えます  「ちょっと歌を作ってみた/ただ言葉にメロディを付けただけ/僕の目の前でぶるぶると震えるこの歌/いったいこの歌は生き残ることができるのか」(「This Song」)冒頭から自分の歌に対する立ち位置を確認するかのような詞をこれまでになくアップビートなメロディに乗せて歌い出すロン。エルヴィス・コステロに見いだされてメジャーデビューして早6年。そのもっちゃりとした風貌にそぐわぬ線の細い繊細な歌声で傷つきやすい少年の気持ちを詩情溢れた歌に託す、というスタイルがメジャーのマーケティングにうまく乗っからなかったのか、評論家筋を中心に評判は呼んだもののセールス的には大した実績を上げないまま、知らない間にインディーに移籍していた。前作の『Whereabouts』ではまさにそういう閉塞感が感じられる歌が耳につきちょっと心配していたのだが、今回あのスティーヴ・アールをプロデュースに迎えてナッシュヴィルで録音したこのインディー移籍第1弾(4作目)は移籍で吹っ切れたかのような躍動感で溢れている。これまでのポロポロ弾き語りスタイルから、アールの助言もあったのか(彼はプロデュースだけでなく「歴史の講義」担当としてもクレジットされている)一転してメンフィス・ソウル風のバンドサウンドをバックにした骨太のシンガーソングライターとして蘇っているのもいい。しかし何よりも自分の歌唄いとしての立ち位置を改めて確認してそれに自信を持って精一杯表現しているのが心地よく、好感が持てるのだ。「僕はこの歌をほっておかない/大事にしてしまっておく/だって憎しみは強く暗黒は忍び寄ってくるもの/この歌、いったい生き残れるのか?」自分の歌を生き残らせるために歌い続けるロンをこれからも支持していきたい。(阿多)
OTHER SONGS (1997, Interscope)
ここでこのアルバムが買えます  歌う内容がまるで映画のようにイメージに浮かび上がってくるような曲を作れるアーティストはそういない。ましてやそれがある時は美しく、またある時はアップビートなメロディに載っている曲となるとなおさらだ。このアルバムを聴く人の恐らく半分くらいは最近の「The Ghost Of Tom Joad」を始めとするBruce Springsteenのいくつかのアルバムを連想するに違いない。ブルースの情景が痛々しく浮かび上がって来る歌と同質の曲がここには詰まっているからだ。ただ決定的に違うのは、Ron Sexsmithの歌が上質のメロディと一体になって聴く者のイメージを掻き立てる点である。音主体で聴いても充分楽しめるポップな作品だが、詞の内容を知ると更にビビッドにイメージが広がる秀作。個人的には「Strawberry Blonde」「April After All」が深かった。詞の内容を見るべき音楽ってのはこういうのを言うんだよな。(阿多)


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