SCARFACE

THE FIX (2002, Def Jam South)
ここでこのアルバムが買えます  ついにスカーフェイスが世界の注目を集めた。「Source」誌でマイク5本の評価をゲット。従来から彼を支えてきた南部でも彼は別格扱いだし、ロック系メディアでもようやくまともに取り上げられた。  しかし素直に喜んでいない人々もいる。もちろん彼が地元の雄・Jプリンスの元を離れ、ニューヨークのDef Jamの軍門に下ったからである。それは単にどのレーベルに所属するかという肩書きだけの問題ではなく、製作陣の顔ぶれや、サウンドにもはっきりと現れてしまっているだけに、何とも複雑だ。いきなりジェイZのMCで始まり、ニューヨーク以外のどこの音でもないトラックを押し付けられてしまった先行シングル「Guess Whoユs Back」を聴いた時には私もとてもいやな予感がした。確かにとても出来のいいキャッチーな曲なのだが、ちょっとこれは露骨すぎた。流石にアルバムにはこれほどはっきりNY風味の曲はない。明かに今までのスカーフェイスの作風とは違うが、許容範囲だと思うし、シナジー効果もあるように思える。  そして日本でスカーフェイスに接するにあたって注意すべき点は、彼の作品がアメリカ(のヒップホップ・メディア)で高く評価されているのは、その音が面白いからではなく、詞が優れているからだということは、忘れてはいけない。彼は最高峰のリリシストであり、NYの最高のリリシストであるジェイZ、ナスをゲストとして送り込んできたのはDef Jamなりのリスペクトの証だったとも解釈できる。移籍前のキャリアを総括するベスト盤も出たので、合わせて現代最高のMCを多くの人に堪能して欲しい。(しんかい)
MY HOMIES (1998, Rap-A-Lot)
ここでこのアルバムが買えます  国土が広いアメリカで生まれる音楽にはジャンルを問わず地域特性という要素がつきまとう。勿論ヒップホップも然り,である。日本で得られるヒップホップ情報はニューヨーク中心だ。これはある意味当然なのだが、視点を変えてこの地域特性というものを考慮に入れるとその存在感が浮かび上がってくるのがScarfaceという男である。南部都市ヒューストンを中心に活動する西でも東でもないシーンの顔役としてその影響力は絶大だ。本作は2枚組130分という長編にして,なんとタイトルどおり曲毎にHis Homiesが次々に交代で登場するという豪華な仕様。全国区アーティストやGettho Boys時代の元同僚も参加しているが,ゲストの多くはチャートに登場しないマイナーアーティストだ。ただ,数あるマイナーレーベルで実績を残している猛者達なだけにそれなりに聴かせてくれる部分もある。どこかで聴いたようなスタイルが登場するのはご愛嬌だが,Scarfaceが許しているプロダクションには結構幅もあり,最後まで聴き通してもさほど倦怠感は感じない。(信沢)
THE UNTOUCHABLE (1997, Rap-A-Lot)
ここでこのアルバムが買えます  日本ではヒップホップファンにさえ想像もつかない、アメリカでのScarface人気。前々からコンスタントにアルバムをヒットさせていたが、今回は遂に全米No.1だ。でも実はこの人がウケるのは日本人にも理解しやすいと思うんだけど。要はヤクザ映画がウケるのと同じだから。ヤクザとしてのハードな世界を見せつけるとともに、「人情」とか「義理」をいかにも美しく見せたり、ちょっと弱いところなんかもちらっと見せたりして、「親近感」を持たせたり。その見せ方が、この人はうまい。そういう意味では一流の「パフォーマー」だ。Dr.Dre、Ice Cube、Too $hortをフィーチャーした超豪華な先行シングルはなぜかヒットしなかったが、2Pacをフィーチャーした次のシングルはヒット。よく「作って」ある曲なんだけど、ところどころでぼそっと "smile to all that bullshit" とか2Pacのヒット曲の題でもある "keep ya head up" なんて台詞がちょこっと挟まれてるのが、この曲にちゃんと「命」を吹き込んでいる。(しんかい)


copyright(c) by meantime 1997-2002 all rights reserved.
無断転載を禁じます。