RUSH

VAPOR TRAILS (2002, Anthem/Atlantic)
ここでこのアルバムが買えます  ラッシュ再始動。オープニングの「One Little Victory」が、アルバムの方向性を象徴する。叩きまくるニールのドラム、久しぶりにハイトーンを駆使するゲディのヴォーカル、ドライブするアレックスのギター。前作から顕著になったヴォーカルの重ね録りや(当時は)グランジ風のうねるギターはさらに前面に出てきて、いつになく攻撃的なサウンド。しかし歌詞はいつになくポジティブ。元々ラッシュの歌詞は一方的な批判やメッセージを避け、リスナーに「判断する余地」を与えてきた。それが「歌詞が難しい」「どう解釈していいかわからない(←そんなの自分で考えろって)」という誤解を招いてきた。確かに享楽的な歌詞が皆無なのは確かだけど。しかし今作では、その判断があくまでも前向きになるような投げ方をしている。全ての歌詞を書いていて、ラッシュの頭脳であるニール・パートは、実はこの数年で一人娘と妻を立て続けに失った。今までになくアルバムリリースの間があいたのは、それが原因でもある。しかし悲劇を乗り越えての新作は、決して内省的な作風とはならなかったし、歌詞が前向きなのはそのせいなのかもしれない。"Hope is the endless river"(「Ceiling Unlimited」より)・・・すべての家族を失った人間は、それでもなお前進という道を選ぶ。(松本)


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