THE TONY RICH PROJECT

BIRDSEYE (1998, BMG)



 「Nobody Knows」がジャンルを越えた大ヒットとなったトニー・リッチのセカンドアルバム。前作の発表が丁度オルタナティブR&Bムーブメントの盛り上がりの時期に当たったため、彼もその一人と見なされるようになったが、本作で展開したのは周囲の期待を裏切るかのような穏やかなポップ集。市場の要求とはやや異なる作品を提示してしまったため、残念ながら当初の期待に見合うだけのセールスをあげることはできなかったようだが、だからといってこのアルバム、決して前作に劣る出来という訳ではないのである。「Nobody Knows」を聴いても明らかなように、元々彼の持つ音楽性はどちらかといえばポップミュージック寄りなものであり、その作風を素直に表現した結果であるこのアルバムを良質なポップ集として聴けば、その音楽的水準の高さが改めて確認できると思う。1998年に発表される必然性は希薄だが、スキルあるアーティスト全てがトレンドに倣ってオルタナティブな展開をする必要などない訳だから、彼のような道を進むアーティストもいるからこそシーンが充実するのだと、今回は好意的な解釈をしておきたい。(八亀)


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