PRIMAL SCREAM
XTRMNTR
(2000, Creation)
今では失敗作としか見なされていない(個人的にはそう思わないが)『ギヴ・アウト・バット・ドント・ギヴ・アップ』がヒットしてしまったおかげで、プライマル・スクリームには、足場の定まらない軽薄なトレンドセッターというイメージが付きまとう。だが、曲のみを注意深く分析すると、メロディーやコード進行は70年代のブリティッシュ・ロックのそれと同じで、すなわち、ブラーやオアシスの構造ともほとんど同じなのだ。このアルバムでも、デビュー作以来のメロディーの人なつこさは不変で、ということは、プライマルにとってのサウンドの変化とは、70年代、ポール・マッカートニーやエルトン・ジョンが、ブギ、ロッカバラード、レゲエと、曲ごとに意匠を変えていたことと、そう違いはないように思える。そう考えると、やっぱりこれは、ブリティッシュ・ロックの直系の子孫であると言えるだろう。ならば、形式はゴリゴリのデジロックのこのアルバムが、テクノやハウスの本質である、人間の官能に直接作用する心地良さからは、かなり遠いところにあるのも理解できる。むしろプログレやジャズ・ロック好きに聞いてもらいたい、ってのは極論か。(Yaz)
VANISHING POINT
(1997, Creation)
理屈抜きにかっこいい!このアルバムに関してはほんとはこれ一言で終わらせてしまいたい。そんな思考停止状態に陥るほどのパワーを持ったとんでもないアルバムである。前作の不評から次は「SCREAMADERICA PART2だ」などとも言われたが、ボビー・ギレスピーが2枚同じようなアルバムを作る訳がないのだ。本作は昨年の限定盤シングルでのON-U SOUNDとの共演の流れをくんだダブの手法が大胆に取り入れられている。言ってみればこれは「ベース」が主役のアルバムなのだ。新たに加入した元ストーン・ローゼスのマニ、前作にも参加していた元ヤング・ディサプルズのマルコ・ネルソン、そしてグレン・マトロックといった面 々による地を這うようなベースの音がズンズンと響いてくると思わず体を動かさずにはいられない。テクノだ何だとコンセプトから入る頭でっかちの連中にはこういう音は絶対につくれない。自然体で自分の快感原則にのみ忠実なボビーだからこそ、ここには誰も聴いたことがない未来の音がうごめいている。とにかく大音量 で体感すべし。(野坂)
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