LIZ PHAIR

LIZ PHAIR (2003, Capitol)



 90年代にはオルタナ女性ロッカー(ライオット・ガールズなんて言葉もあったっけ)の筆頭格だったリズ・フェアーが久々に放った新作は、何とアヴリルやヒラリー・ダフなどロックを夢見るポップ・アイドルたちご用達のプロデューサーであるマトリックスを迎えたラジオフレンドリーな作品に仕上がってしまった。もともと声質はかわいいところがあるのでこれはこれでキャッチーにハマってしまうのだが、昔からのファンがこの大変身ぶりにやや引き気味、新しいファンがつくほどの商業的大成功も収めていない、とちょっとキビしい結果となってしまっている気も。自分でも十分曲も書けるしプロデュースもこなせるだけにこのタイミングでの起用はちょっともったいなかったような。とはいえバラエティに富んだ楽曲群で楽しく聴ける作品。さすがにマトリックス作でも「Rock Me」などでしゃがれたダークな歌い回しも微妙に見え隠れしたりとポップな中にもきちんと貫禄を見せる。確かにこんなフックのキャッチーな曲がライヴのレパートリーに加わると気持ちいいかも。マトリックス参加!のインパクトに押されてあまり話題になってないがマイケル・ペンも5曲でプロデュース。スペイシーな音使いをうまく効かせた「It's Sweet」での個性的な仕上がり、「Little Digger」での切なくひっぱるメロディーも味わい深い。その他にもカントリー風の「H.W.C.」やパブ・ロック風の「My Bionic Eyes」のように年相応な曲も出来がよく、もっと聴いてみたい。リズ姐御の次作の方向が気になるところ。(中村)


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