BRAD PAISLEY

MUD ON THE TIRES (2003, Arista Nashville)



 順調にヒット曲を飛ばし続け、カントリー界の“スーパー・エリート”のポジションも固まりつつあるプラペ。作を追うにつれ彼が要求される作品のレベルは当然高くなってくる。前作「Part II」はオーソドックスすぎて、仕上がりはなんか凡庸な印象があったのだが、今回はそのリベンジに見事成功している。
 作品の質は勿論、彼のようにステップアップを遂げているアーティストが次に必要とされるのは、作品で如何に“遊び”が入れられるかだと思う。例えば「意外なコラボレーションが見てみたい。」「ニヤリとさせてくれるような小品が欲しい。」「カッコいいカバーが聴きたい。」等々。今回彼はそれらの要求にことごとく応えてくれている。まずコラボレーションの相手にはアリソン・クラウスが登場!本物は本物と呼ぶのだ。そして“お遊び”トラックとしては「マカロニ・ウェスタン・スイング」なんて洒落っ気たっぷりな曲を用意。更にカバーではトラディショナルの(カントリー・ロックを聴いてきた人間には、すぐさまバーズのバージョンを連想させる)「Farther Along」をチョイスと、殆ど穴がない。
 勿論作品の基本的な部分にも、サウンドをはじめ随所に進歩が見られる。CD収録時間が一作毎に長くなっているのも(今回は初の1時間超!)彼の制作意欲が増していることの表れだろう。先日熊本まで出かけて観たライブでも自信を増した様子が窺えたし、ブラペは確実に成長を続けている。大物のスケール感がいま一つ感じられないのは今後の課題だが、ひとまずはこの調子で着実にやり続けていただきたい。と切に願うばかり。(八亀)


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