OUTKAST

STANKONIA (2000, LaFace/Arista)



 アトランタの鬼才デュオがまたまたカマしてくれた通算4作目のアルバム。先行シングルとなった「B.O.B.」のぶっとびぶりも2人の音世界の広さが十分感じられる出来映えだったが、前作で見せたファンクへの傾倒、そして宇宙的アプローチ(?)からやや地上に降りてきた印象を与えつつも相変わらず独自の世界をつっ走りまくり。今回「Gasoline Dreams」などでヒップホップサイドからのヘヴィロック的アプローチとしてロック・ファンからの支持も集めているようだが、本人たちにしてみればそんな狭いジャンルのくくりには全くこだわっていないはず。なんせ宇宙までイッちゃった人々なので。さてシングルカットされた「Ms. Jackson」や「So Fresh〜」では歌フックの不可思議キャッチー感が印象的で、聴けば聴くほど音の細部までこだわりが感じられるハイ・クオリティなポップ。超高速のラップも軽くこぶしをまわした歌パートも余裕でこなしてしまう2人、ゲスト人選もなかなか通好みな顔合わせ。「I'll Call Before I Come」ではギャングスタ・ブー&新人エコーを迎え、エレクトロなフックにのせてお互いの浮気に目をつぶるクールな男女関係が綴られる。「Humble Mumble」ではアフリカンチャント的なエリカ・バドゥのコーラスが美しい。プリミティヴな勢いを持つ曲の一方、ラストのタイトルナンバー「Stankonia (Stanklove)」ではプリンスを思わせる甘美なメロディーを披露。やはりこの2人の頭の中は計り知れない。(中村)
AQUEMINI (1998, LaFace / Arista)



 凄い。毎年迷う年間投票のベストアルバムだが、98年はこのアルバムで迷いはなかった。とにかくこれは凄い。どちらかと言えば凄いのは主役のアウトキャストではなく、プロデュースとバックトラック作りを手掛けるオーガナイズド・ノイズの方なのだが。例えばアコースティック・ギターが全編で鳴り続ける「Rosa Parks」。単に目新しさを狙っただけではなく、全く違和感なく、完全にラップと溶け込んでいるのだ。勇壮なフレーズながらもどこか寂しさを感じさせるホーンの音色に導かれ、カーティスのようなファルセットで歌い出す「SpottieOttieDopliscious」のディープなサザン・ソウルはまったく見事と言うほかない。この1曲だけで2千数百円の価値有り。ジョージ・クリントンみたいな声を入れたいので本人をゲストに招き、「素材」として使う声だけを提供してもらうという、「材料」への徹底したこだわり。サンプリングなどの飾りで誤魔化すのではなく、最高級の和食のように、そもそもの素材が素晴らしいのだ。これは、確実にラップ史に残る名作である。(しんかい)

 LaFaceのヒップホップ部門をGoodie Mobらと担う二人組も順調にリリースを重ねて三作目。これが南部のヒップホップ,と一言では形容できないが,東の鋭さやスマートさ,西の派手さとは異なるものを持っているのは確か。彼らの場合,本作が特にアメリカ人の間で南部的な香りを感じさせると好評だが,南部を知らぬ筆者にもその不思議な心地よさ,リラックスさせる雰囲気は十分に伝わってくる。最近あまり名前を聞かないOrganized Noiseがしっかりプロデュースに参加しているところは南部の人間の繋がりの強さか。彼らが織り成す世界は一種独特の「有機的」な響きがあるのだが,ここではOutKastの二人によるドライヴ感たっぷりのフロウと奇妙な調合を見せている。本作でも健在の機関銃のようなフロウも以前よりレイドバックした様子で,これならば拒否反応を示していた日本のヘッズの耳にも馴染むのではなかろうか。相変わらずグラフィカルなジャケットもグッド。なお,アルバムタイトルはBig BoisとDreの星座にちなんだ合成語。(信沢)  
ATLIENS (1996, LaFace/Arista)



 早口にまくしたてたあげく最後に飛び跳ねるようなフロー、片や太い喉でドスの効いたラップを披露するアウトキャストの二人の好対照なMCぶりはそれぞれますます磨きがかかってそのコントラストは非常に個性的で耳に楽しい。さらにバックのサウンドは前作以上にふつふつと静かに煮えたぎるような冷めたポップ感覚に満ちていてアウトキャストにピタッと寄りそうのだから本作の出来が悪かろうはずがない。この二作目も前作同様に大御所オーガナイズド・ノイズの手にそのトラックの多くを委ねて製作されたのは正解だ。ただファーストが丸ごとだったのに比して今回は親の手を離れるかのように彼等二人自らが陣頭に立ったものもあり、そのうちの一つ「Elevators」が大ヒットしたことは彼等の自信につながったろう。何やら裏ジャケットの文字からしてPファンク調だなと思ったらSFマンガつきのブックレットが封入されている。これ、結構楽しめます。(信沢)


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