311

EVOLVER (2003, Volcano / Zomba)



 デビュー以来所属していたカプリコーンからヴォルケーノに移籍してこれが2枚目、通算8枚目のアルバム。一曲目の「Creatures (For A While)」から最後の「Sometimes Jacks Rule The Realm」までこれまでと変わらぬ、スカ、レゲエ、ファンク、ジャズなどの要素を端々ににじみ出させたソリッドでタイトなヘヴィロックをきっちり聴かせてくれる。彼等のようなバンドはそのブレイクの仕方からも明らかなように、やはりライヴに接してその高い演奏能力と質の高い楽曲を目の当たりにしないとなかなかその真価はわからないような気がするから、一度日本の野外フェスにも来て欲しいもの。それにしてもこいつらの演奏力は凄い。大体演奏力の高いバンドはリズムセクションのテクが凄いがこのバンドもそうで、ベースのP-ナットの超人的な演奏ぶりはエンハンスCD収録のレコーディングの様子を納めた映像で確認できる。ただ演奏凄いだけでなくタイトルの「進化」の名に恥じず楽曲の多様性が見られるのもこのアルバムの特徴で、特に後半はドリーミーな「Beyond The Gray Sky」やアコギがテーマのムーディー・ブルースみたいな「Seems Uncertain」、そしてラストで本作一番のポップなメロディでちょっと「Venus & Mars/Rock Show」あたりを思わせるひねった構成の「Sometimes〜」などもこなしバンドの成熟度が伺える。リンプやコーンにはついて行けないけど最近ちょっと刺激的なロックが聴きたいぞ、という30代以上のあなたにお薦め。(阿多)
FROM CHAOS (2001, Volcano)



 リンキン・パークを最初に見た時、311の姿が目に浮かんだ。音楽性は違うが、ツインボーカルで、一人が主に歌担当、もう一人が主にラップ担当、というメンバー構成は311そのまんまだ。
 さて「From Chaos」と題されたこの作品。Chaos=無秩序という言葉が、誤解を生みそうだ。日本盤帯の宣伝文句でも「無秩序??面白いじゃん!!」などと何も考えずにそれを煽っている。頭悪いわー。タイトル曲「From Chaos」を聴いてみよう。「無秩序から清澄が生まれる/.../90年代のハイブリッド・ミュージック/俺たちの出番だ/俺たちが生み出した音楽/フェイクな音楽を作るな/オリジナルを見つけろ/.../お前ら、ポイントがずれてるよ/音楽は所有欲を語るためのものじゃない、愛を語るためのものだ」 歯の浮くような台詞だが、この青臭い正義感と、自分たちのスタイルに対する過剰なまでの自信は、「All Mixed Up」や「Come Original」など、以前からずっと聴かれた、彼らの一貫した主張だ。音楽スタイルも従来からの311のスタイルをかちっと踏襲しており、本作自体は「無秩序」でも何でもない。311らしさに満ちて、見事に調和のとれた作品なのだ。世間であまりいい評判は聞かないが、曲の粒が揃ってて、1曲1曲がコンパクトにすっきりまとまっている。贅肉がない。かなり良くできてるアルバムだと思う。
 無秩序という言葉をロック的だと勘違いし、それを宣伝文句として前面に出そうというのならレコード会社の戦略は間違っている。騙されて失望しないように。ここには、いつもの311がいる。(しんかい)
TRANSISTOR (1997, Capricorn/Mercury)



 米ネブラスカ州オマハ出身の5人組、95年に発売された前作「311」が息の長いセールスを続けた後を受けての待望の4作目である。アルバムの売り上げが好調なのは数多くのライヴをこなしていることによるもので、コンサートツアーに同行するクルーの名をジャケットに記載することからもライヴ重視の姿勢がわかる。そのライヴでオーディエンスを楽しませるのは一風変った詞によるところが大きいはず。アルバム冒頭から痛烈な評論家批判、クルーとの一体感を語るのは現場第一主義の表われとして一般的だが、ラヴソングや社会批判の形とっているとはいえよく吟味すれば、木星、1000光年、天罰、人類が滅亡、といった言葉が登場する。これらは多分にライヴでの宗教的な熱狂感を意識したものだろう。演奏面についてはライヴで鍛えられているからこの手の所謂スカコアと呼ばれるリズム感と体力を非常に要求される楽曲をこなすのに十分な技量が各々に備わっている。本作を聴けば誰でもこの教祖達のライヴを観たくなることだろう。(信沢)


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