NICKEL CREEK

THIS SIDE (2002, Sugar Hill)
ここでこのアルバムが買えます  前作のロングセラーが自信となったのか、本作では一気に勝負に出たニッケル・クリーク。まず特長だったインスト・パートを大幅に減らし、本作では何と最初の一曲だけ。残りのヴォーカル・ナンバーは3人で交互にリードを取るが、歌ものが増えた分、前作で出番が少なかったショーンとサラが歌う曲が増えた。特にサラの可憐な声には、このバンドの新たな個性となり、巷の女性ヴォーカルファンを惹きつける可能性がある。カバー曲にも挑戦しているが、ペイヴメントの「Spit On A Stranger」はかなり意表をつく。高度な演奏技術を持つバンドが、およそ技術とは縁のなさそうなローファイ・バンドをカバーするという構図が面白い。それも面白いだけじゃなくて、ちゃんと自分なりに消化してるのはさすが。もちろん演奏は全く危なげない。マンドリンのクリスに続いてギターのショーンもソロアルバムを出した成果が現れていて、複雑な変拍子だろうと早弾きだろうと難無くこなす。3人の他にも様々なゲストを迎え、引き続きアリソン・クラウスのプロデュースではあるが、音は格段にスケール・アップしている。
 と、ここまで読んで彼らをメタルかプログレ・バンドだと勘違いした人もいるかもしれない。残念。彼らはブルーグラス・バンド。本作で一気にメインストリームに踊り出て、カントリー界に新しい風を吹き込む若き実力者達に、是非応援を。(松本)
NICKEL CREEK (2001, Sugar Hill)
ここでこのアルバムが買えます  スコットとクリスのサイル親子と、サラとショーンのワトキンス兄妹によるブルーグラス・グループ。2000年のリリースだが、2002年に入ってもカントリー・チャートの上位にランクインするロングセラー。ヴォーカルをとるのはクリスとサラの若干20歳の男女、どちらも瑞々しい声でカントリーよりはむしろアイリッシュに近い清楚さを感じさせる。だがこのアルバムの特徴はインスト・ナンバーが半分を占めるということ。全米ブルーグラス・コンテスト優勝という経験を持ち、演奏力には自信をもつ彼らだが、音符がまるで宙を舞っているかのような華麗なテクニックはさすが。もちろん、彼らの持ち味をCDにうまくパッケージングした、プロデューサーのアリソン・クラウスの力もあるかもしれない。しかし彼らの実力はもはやアリソンのバンド、ユニオン・ステーションさえも凌駕するほど。実は昨年父親のスコットが脱退したが、それは「子供達だけだとアイドル的な売り方をされるから自分がいた」ためで、ツアーで実力を認められた以上、自分のいる必要はなくなったと身を引いた結果らしい。ブルーグラスはあまりなじみがないという人も、歌・楽曲・演奏のレベルの高さを体験するためにこのアルバム聴いて損なし。(松本)


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