|
TARANTULA
(2001, Jive) |

|
ノーリミットを離れていきなりネプチューンズの「Shake Ya Ass」「Danger (Down So Long)」という大ヒットを生み出したミスティカル。以前から強烈にシャウトしまくるライムで一部に根強いファンはいたが、今やすっかり国民的ラッパー。第一弾シングルとなった「Bouncin’ Back」はまたもネプチューンズの手による曲だが、ビッグ・バンド風のトラックで冒険している耳新しいナンバー。最近は叫び方にも緩急を心得てきたらしく、手堅いラップを披露。ジュヴィナイルとの共演が話題の「Settle The Score」は可愛らしいトラックが耳障りがよいが、それぞれの存在感あるラップの対比が面白い「I Get It Started」にはレッド・マン&メソッド・マンが参加し、また独特のユルさを持ち込んでいる。「Paper Stack」でフィーチャーされているのはミスティカルが立ち上げるビッグ・トラック・レコーズ所属アーティスト。新旧入り交じるゲストも豪華だが、やっぱり主役ミスティカルの個性は脅かされることはない。ただし以前からのファンにはネプチューンズ作品のような派手なトラックはちょっとミスティカルの勢いを狭めている気がしてしまうのも確か。かつての荒削りな叫びまくりラッパーのインパクトはミスティカルの存在自体の怪しさに負うところも大きかっただけに、ビッグネームとなった今は中和も仕方ないかも。(中村)
|
|
GHETTO FABULOUS
(1998, No Limit / Jive) |

|
人間核弾頭・ミスティカルの3作目。やっぱこいつは凄い。凄いんだけど前作を聴いた時の、何じゃこりゃあ!と言うような強烈なインパクトはない。一つには聴き手がミスティカルのスタイルに慣れてしまったこと、もう一つはNo Limitの製作陣の力量不足が原因である。もっとも、後者は今さら大真面目に指摘するようなことではない。この人は実力はあるけど、基本的にインパクト一発勝負の人である。だから5年も10年も売れ続けるということはないだろう。今彼がやらなければならないのは、実力を磨いて精進することではない。今必要なのは、ヒット曲だ。強烈な。ミスティカルと言えば「ああ、あの○○の」と、非音楽ファンとまで会話できてしまうぐらいの(クーリオにとっての「Gangsta's Paradise」みたいな)大ヒット曲なのだ。そして人々の記憶に刻まれ、10年後に「あーそんな馬鹿がいたねえ(笑)」と話題にされなくてはいけないのだ。人気が続くのも次作か、せいぜいその次までだろう。「今」聴いておかなければ何の意味も為さない、まさに旬の音楽である。(しんかい)
|
|
UNPREDICTABLE
(1997, Big Boy/No Limit/Jive) |

|
竹ヤリ・出っ歯の改造車。はち巻きに特攻服。我々の目から見ればばかの証明にしか見えないことにも、彼らは本気である。その本気ぶりがまた我々から見ればギャグにしかなっていのだが、いざ現物を目の前にすると、相手が何をしでかすかわからないという恐さに萎縮してしまったりする。マスターPは、まさにアメリカのヤンキー文化である。そのマスターPが自らスカウトし、自分の門下に迎え入れたのが、ミスティカル。デビューアルバムが一部で評判になり、これがセカンド。無理矢理声を潰して怒鳴りまくり、しかもそれがかなりの早口というラップは唯一無二のスタイルで、もうこれは笑うしかない。ほんとにこんなのが走るのか?という、原型を留めないような凄まじい改造車が猛スピードで突進するような、狂気と紙一重の危うさ。全米3位になるぐらいだから、これを本気でかっこいいと感じている人間もアメリカには少なくないのだろう。しかし、太平洋を挟んだ遥か彼方の我々にとっては、「あはははは、このバーカ!」というのがこのアルバムの正しい聴き方である。(しんかい)
|