MYA

MOODRING (2003, A&M / Interscope)



 ロリ声歌姫マイアの三作目。98年発表のデビュー作『Mya』はかなりブラック色の強いスローナンバー主体の構成、2000年発表の二作目『Fear Of Flying』がデビュー作をかなりポップにした作風、という解釈をすれば、本作はそれらをいいとこ取りしたような感覚で捉えることができる。先行シングルの「My Love Is Like...Wo」が、曲の良し悪しはともかくかなりブラック色が強く(そしていつになく肌の露出も大きく)、アルバムはあまり一般受けしない内容なのではないかと危惧されたが、むしろこうした曲は少数派。前作で自らのロリ声を十二分に発揮し、新たなファン層を多く獲得、そしてアギレラ達と共演したNo.1ヒット「Lady Marmalade」によりその名を更に知らしめたところだけに、ポップ寄りのスタンスを維持したのは間違っていないだろう。
 特に聴き応えがあるのが、少し肩の力を抜いた軽やかなナンバーの数々。彼女のロリ声を力強く振り絞った過去のヒット曲とは一味違い、軽快さを前面に押し出した曲が目に付く。あまりにも涼しげな「Fallen」、ショーン・ポールと共演した「Things Come & Go」、そしてトム・ペティの大ヒット曲「Free Fallin'」のカバーはいずれも秀逸。可愛さだけでなく、爽やかさでアピールできるようになった点は彼女の新境地かもしれない。収録曲が多くやや間延びしそうになるのが難点ながら、大人になったマイアの魅力が堪能できる意欲作と言っておきたい。(小川ボ)
FEAR OF FLYING (2000, Interscope/Universal)



 意欲作である。これまではむしろプラスの「Ghetto Supastar」やブラックストリートの「Take Me There」での名演の印象が強く、1998年に発表されたデビュー作「Mya」はどうもたるい曲が多くてアルバム単位では聴く気になれなかったという方も少なくないだろう。多少ポップめの元気な曲調に合わせた方が、彼女の持ち味、つまりあの特徴的なロリー声が生かされるという事実がこれまでは皮肉にも他のアーティストの曲への客演によって明らかにされてきたわけだが、自らをメインに据えてもそれが可能であるということをこのアルバムで証明した。今回は全体の9割近くがミドルテンポからアップテンポの曲で占められており、程よいテンションを維持したまま聴き通すことが出来る。何より1曲目の「Turn It Up (Intro)」から2曲目の「Case Of The Ex (Whatcha Gonna Do)」への流れが絶妙。レフトアイの共演やシェークスピア、ワイクレフの参加など見所も十分だ。全体の仕上がり具合はとてもポップなので、ブラックが苦手な人でも大丈夫なはずである。ぜひとも一聴されることをオススメする。(小川ボ)
MYA (1998, Interscope)



 フォトジェニックなルックスの魅力満開のビデオクリップといい、ドゥルー・ヒルのシスコやフージーズのプラスなどのスターとの競演デビューといい、正に今が「旬」のマルチ・タレント・アーティストのデビュー盤。最近の女性プラック勢の新人って誰にしても歌うまいのは当然、あとはどう個性で売るか、みたいなところがあるが、彼女の場合「キレがあってコクがある」という感じ。若さ全開の華やかさとキレのあるジープ・ナンバーはカッコよく、一方思いっきり情感を込めたバラードはしっとりと、と全方位的な豊かな才能が感じられる。デビュー時のモニカが頭に浮かぶが彼女のように根本的にR&Bサイドのスタイルに限定されない間口の広さがマイアの魅力。オープニングの『What Cha Say』やミッシーとの共演『Bye Bye』などのアップ曲でのソツのないパフォーマンスや『Baby It's Yours』『If You Died...』といったスローでの存在感は特筆。とはいえ年齢相応の若干の線の細さは否めないのも事実で、今後の成長の中でどこまで線を太くしていくかが課題でもある。(阿多)


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