JASON MRAZ

WAITING FOR MY ROCKET TO COME (2003, Elektra)



 ヒット曲「The Remedy (I Won't Worry)」が早口系息継ぎなしでメロディーの盛り上がり方がカタルシス系なんでとかくジョン・メイヤーあたりが引き合いに出されることが多いが、同じライヴハウスでの下積みを重ね、独特のポップセンスを持った曲を書き、アコギのさばきがめっぽう巧いと言うあたりは確かに同類のポジションだが、ポップセンスの質は実はちょっと違うかもしれない。ふと『All This And Heaven Too』あたりのアンドリュー・ゴールドなんかを思わせるアルバム冒頭の「You And I Both」や「I'll Do Anything」なんかを聴くと、どっちかというとジャズやR&Bの素養が強くデブマの弟分のようなジョン・メイヤーに比べてこのムラーズ君はもっとティンパン・アレーでウェスト・コーストでエスニックなのだ。そう言う意味ではこの男、ジョン・メイヤーほどにはハイブリッドでニューブリードではなく、結構メインストリーム系ポップの2000年代的エグゼキューションを狙っているのではないか。ヒップホップ、レゲエそしてワールド・ミュージック系なんかの取り込み方もジョン・メイヤーに比べて突っ込みが自然で深い気もするし。アルバムの完成度としてはメイヤーのデビュー作にはやや及ばないものの、冒頭曲や「Sleep All Day」みたいな1977-78年くらいにラジオから流れていてもおかしくないのにちゃんと今のグルーヴを持ってる正統派の曲ではムラーズ君の方が上かも。いずれにしても何度も何度も体に馴染むまで聴きたくなるようなそんな感じの、素晴らしいデビュー作だ。(阿多)


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