MOBB DEEP

INFAMY (2001, Loud/Columbia)
ここでこのアルバムが買えます  なんか萎んじゃったなあ。緊張感ばりばりのトラックに乗せてクイーンズの日常を淡々と呟いてみせるのが彼らのスタイルだったのに。アルバム冒頭2曲がいきなり女性ボーカルをフィーチャーしたメロウな歌モノで、おいおいどうしちゃったんだよという印象を与える。実はそれ以降の多くの曲ではいつものペースを取り戻すだけに、この曲順はまずい。  とは言え112をフィーチャーした「Hey Luv」をシングルにするあたり、やっぱり彼らの志向が“歌モノ”に傾いていることも事実なのだろう。その極めつけが、なんと7分近くに渡ってロナルド・アイズレーに歌わせまくる「There I Go Again」だ。  メンバーのハヴォックが大半の曲をプロデュースするだけに、これが彼ら自身が本当にやりたいことではあるのかもしれないが、逆に内政化したことで時代の潮流から置いていかれてしまった感は否めない。R&Bチャートからもあまりにもあっさりと姿を消してしまったという市場の反応が、それを雄弁に物語っている。  決して内容はそんなに悪いわけではないのが、別にモブ・ディープがこんなことやんなくてもいいじゃん。というのが率直な感想。ばりばりの硬派で売ってきた彼らの方向転換。次作でどう出てくるかに注目だろう。(しんかい)
H.N.I.C - PRODIGY OF MOBB DEEP (2000, Loud)
ここでこのアルバムが買えます  モブ・ディープの片割れ、アルバート“プロディジー”ジョンソンのソロ作。「Infamous Minded」などシンプルなトラックにソリッドなフロウがのる地味な印象の楽曲が多いものの、それが逆にスキルを際立たせる結果を生み、クイーンズらしいタイトさが浮き出ている。「Trials Of Love」では女性ラッパーB.K.を迎えてカップル問答になっているが、ビギー&リル・キムのような派手な言い争いモードにならずクールに言い放つのが彼の個性。「Veteran's Memorial」では過去の思い出を綴りながら世を去った友人たちに捧げるレクイエムで、哀愁バックトラックが切なく響く。「Y.B.E.」ではキャッシュ・マネー・ミリオネアーズのB.G.との異色の顔合わせでフーディーニをサンプリングした耳当たりのよいトラック。「Wanna Be Thugs」「Delt〜」ではハヴォックがゲスト参加してモブ・ディープが再現されているが、やはり呼吸がぴったりでユニット独自のケミストリーが生まれている。盟友ビッグ・ノイドとのコラボも秀逸。この作品発表と同時に重い鎌状赤血球貧血(T-Bozも苦しんでいるアフリカ系人種に多く見られる遺伝性血色素異常)に苦しみ、1年の3分の2くらいを入院して過ごしていることを発表したプロディジー、「苦痛を扱った曲をつくるヤツらは沢山いるがテメエらに俺の痛みはわからねぇと言いたかった」とのことで、説得力のあるライムにも納得。病気と闘いながらいい作品を発表し続けてほしい。(中村)
HELL ON EARTH (1996, RCA)
ここでこのアルバムが買えます  ハイハットがチッチッチッチッと響く。そう、これは奴等の音だ。クイーンズの悪党供が帰ってきたのだ。全米でブレークした前作から一年と少し、そう期間は経っておらず製作にも余裕はなかったはずだがノっている奴等は仕事の速さが違う。前作で有名になったサウンド・パターンをなぞっている部分もあるが、モブ・ディープといえばやはりプロジェクト(貧民街とでも言っておこうか、まさに「地上の地獄」だそうだ)を連想させる重く暗いビート、これに尽きる。そこに奴等はストリートの過酷な現実と自己顕示をドスの効いた過激なラップに乗せて自信たっぷりにトバしまくるのだからこのアルバムにまともに耳を傾けるのは非常にコワい。腰と脳ミソにかなりズシリとくるので多くの人はその重苦しさに途中退場するか、あるいはマゾヒスティックな快感が生まれてヤミつきになるというどちらか両極端な反応を示すだろう。皆さんはどちらになるだろうか。(信沢)


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