| BOTH SIDES NOW (2000, Reprise) |

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これは、思い切った作品だ。ジョニ・ミッチェルは、70年代からずっと、シンガーとしてよりはソングライターとして評価されてきた人だ。独特の味がある彼女のボーカルには捨てがたい魅力があるが、彼女がここまで大きな存在になったのは、やはり数々の名曲を作曲してきたという実績によるものであり、シンガーとしての実力によるものではない。
90年代にも地味ながら良質な作品を残してきた彼女は、ここで、敢えて全曲カバーのアルバムに挑んだ。つまり、ソングライターとしての自分をいっさい出さず、純粋にシンガーとしての作品に、キャリア約30年の中で、初めて挑んだのである。まあ正確には自作曲も2曲入っているのだけど。しかも全曲カバーと言っても、我々が知ってる曲が満載、なんて甘っちょろいもんではない。1930年代の作品が中心で、殆どが50年代以前。ジャジーな雰囲気も漂わせ、オーケストラをバックに、ジョニが朗々と歌う。言わば、リンダ・ロンシュタットがネルソン・リドル・オーケストラと共演した3部作、あれをもっと思いっきりマニアックに渋くしたものだ。ジャケ写の自画像のイメージ通りの本作、決してマニア向けの敷居の高い作品というわけではないが、やっぱりとっつき易い作品とも言えない。(しんかい)
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TAMING THE TIGER
(1998, Reprise) |

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「ジョニさん、久しぶりの新作ですね。」「そうね、でも私は絵も描いているし、休んでいたわけじゃないのよ」「何か、相変わらず確固たるジョニ・ミッチェルの世界が展開されてて頼もしいですよ。」「ありがとう」「でもワンパターンだとか言われません?チーフタンズの新作なんか、ゲストはみんなチーフタンズと『共作』してるのに、あなただけ強引に自分の世界に引き込んでましたね。」「まあ小生意気なガキね。ワンパターンってあなた、あなたは私に『変化』を求めているとしたら、それはお門違いよ。私には私の表現手法があって、それは他の誰とも違うユニークなものだというだけのことでしょう。芸術家はすべからくそうあるべきじゃないかしら?」「なるほど芸術家ですか。あなたはもはやポップ・スターではないと。」「私がそんなものであったことは一度もないわ」「うーん、確かにあなたに言われると説得力ありますね。でも何かその、最近その芸術に走りすぎてて、曲がつまんなくなってたりしません?」「あんた本当にクソ生意気なガキね」(しんかい)
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| HITS (1996, Reprise) |

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この人は本当に素晴らしいソングライターだ。今も現役ではあるものの、もう今後の活躍は期待できないだろうし、再評価ブームなんてのも起きそうにないから、ベスト盤が出たこの機会に、耳を通しておくといいだろう。聴いて、ほんとに。この人は、世間一般の「いい曲」とはちょっとズレた曲を書く。その微妙なズレ具合がこの人の唯一無二の個性であり、素晴らしさなのだ。特に初期の瑞々しく美しいアコースティック作品群なんかもはや静物画やガラス工芸なんかと同等の芸術作品と呼ぶに相応しい。これを聴いて気に入ったら、「Blue」「Ladies Of The Canyon」あたりのオリジナル作品も是非。私は大名曲「The Circle Game」、精神的に自由であることの美しさを教えてくれる「Carey」、喜びと楽しさに溢れたほのぼのと幸せな「California」あたりが大好き。タイトルの「Hits」に騙されちゃいけない。いわゆるヒット曲みたいな、下世話な曲は入ってないから。(しんかい)
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