LUIS MIGUEL

MIS BOLEROS FAVORITOS (2002, Warner Latin)



 リッキー・マーティン、エンリケ・イグレシアス、マーク・アンソニーとラテン・ミュージックの世界で人気を博していたアーティストが相次いで英語盤のアルバムを制作している中、頑なにスペイン語のアルバムにこだわっているスーパースターがいる。それが今年32歳にして20年のキャリアを持つルイス・ミゲルだ。
 今年リリースされた『Mis Boleros Favoritos』(スペイン語で『僕のお気に入りのボレロ集』の意味)は過去にリリースされたボレロ4部作と呼ばれるアルバム(『Romance』(1993)『Segundo Romance』(1995)『Romances』(1997)『Mis Romances』(2002))からの選曲に新曲を加えたベスト盤的な仕様になっている。
 本来「ボレロ」は18世紀頃にスペインやキューバで創始された舞踏のことを言うが、ルイス・ミゲルはもっと範囲を広げ、スペイン語圏で昔から歌われているスタンダードナンバーを取り上げている。ラテン・ミュージックというと、フラメンコやサルサなど賑やかで華やかなイメージを持っている方に是非一度聴いて頂きたい。スペイン語の響きとルイス・ミゲルの歌声が相まって、このアルバムに収録されている「No Me Platiques Mas」や「El Dia Que Me Quieras」などの曲を耳にすると、静かな曲でありながら情熱的で心を揺さぶられることがわかるだろう。老若男女を問わず、一人でいても二人でいてもそれぞれ違った味わい方ができる、そんなアルバムだ。(かん)
VIVO (2000, WEA International)



 リキマ、エンリケ、マーク・アンソニーと、ラテン界のスーパースター達が次々に英語作品を出してアメリカ、ひいては全世界的にブレイクしていく中、この人はスペイン語作品にこだわる。マライア・キャリーとのつきあいも長いので、その気になればアメリカの業界にもすぐコネは作れるだろうし、処世術のようなものも教えてもらえると思うのだが、あくまでも「ラテンのスーパースター」であり続ける。
 10代でアイドル的にデビューし、既に10数年のキャリア。過剰なぐらいドラマチックでロマンチックな歌い上げ型作品が得意な人で、「ロマンス3部作」と呼ばれる代表作群を20代に残している。このライヴ盤でも、それぞれ1枚のアルバムを10分程度に凝縮したメドレーにして、3部作を披露している。まあ、とにかく盛り上がること。もともと曲の作りが盛り上がり型なのに加えて、ルイスの熱唱、そして女性ファンたちの叫ぶような声援。
 しかし盛り上がるといっても、この盛り上がりは、ロックのライヴでは見られない種類のものだ。言わば、予定調和の盛り上がり。これの次はこうなる、というシナリオが出来ていて、その通りに事が進むことで、観客も安心して盛り上がれる。たぶん、客席だけを見ていると、宝塚の舞台と同じような客層が、同じように反応してるんじゃないだろうか。
 これはこれで素晴らしいパフォーマンスだし、この人は本当に素晴らしいシンガーだと思うが、私が日頃聴いてる音楽とは、ちょっとだけ別世界なのかな、という気はする。(しんかい)


copyright(c) by meantime 2001-2003 all rights reserved.
無断転載を禁じます。