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見事にマンネリを打開したアルバムと評したら、前作『Imaginary Day』(1997)に失礼ですね。しかし、今作までの五年間のPat Methenyのリリースを辿ると、何か新しい刺激を捜し求めていたかのようにも思えてきます。結果として登場した本作では、1984年の『First Circle』以降不動の布陣だったコア・カルテット(ギター、キーボード、ベース、ドラム)にまで及ぶメンバー交代がありました。しかも、交代したコア・メンバーがドラマーで、新加入メンバーには本業はベースという人が含まれていました。
自身のバンドを率いて2002年初頭に来日公演を行ったRichard Bonaが話題のベーシストです。アルバムではボーカル、パーカッション、リズム・ギター等、諸々の効果音的なパートを担当していて、地味な存在です。当初から彼の才能を活かし切れていないという評判も聞かれましたが、9月のPMGとしての来日公演での活躍振りを目の当りにして納得しました。
Richard Bonaよりもさらに目立たない存在なのが、トランペットとボーカル担当のベトナム人Cuong Vu。ライブで目の当たりにするまで、象の遠吠えや荒野を吹き抜ける一陣の風のような音が、彼のトランペットだとは思いませんでした。まるで魔法をかけるような仕草に見える左手のミュートで作り出される繊細な響きは、広大な平原で繰り広げられる様々な自然の営みを想起させる隠し味になっていたのです。
全体的な印象は、出世作『Still Life (talking)』を彷彿とさせる躍動感があり、9曲72分(米盤の場合)という長めの曲ばかりの割にはさらりと聞けました。その躍動感の源は何かと思い巡らせてみれば、至極当たり前なことにドラミングの変化でした。メキシコ出身のドラマーAntonio Sanchezがグループの活性化に大いに貢献していたのです。Pat Methenyのギターはもちろん、Lyle Maysのピアノのエモーショナルな流麗さは、彼のドラミングに触発されたものではないかと思います。(真田)
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