METALLICA

ST. ANGER (2003, Elektra)



 このアルバムは聴いていて気持ちいい。この気持ちよさを他のものに例えるならサウナだろう。聴いている間は1曲が長く単調な曲展開が多く、早く次の曲に行きたいと思うのだが何故か我慢してしまう。で、それを我慢して聴いているとさすがに耳が疲れてきて聞き終わると、「次はソロプロジェクトでMetallicaをカバーしたこともあるEnigmaでも聴くか」(サウナで言うところの水風呂)と思うのだが、すぐまたこの激しいサウンドを求めてリピートしてしまう。かつてPink Floydの発言で、「我々は咳を録音しただけでミリオンセラーは約束されている」なんてな名言があったが、Metallicaがその状態に入ってから長い。商業主義が批判されることも多い彼らだが、これはとても売れ線な音ではないし、ジャケ買いする人もいないでしょう。ここ4作シングルヒットもあったのだが、今回の1stシングルはTOP40どころか、TOP100にも入ってこなかった。しかし、空前のヘヴィロックブーム時期は小ネタを売りまくり、一段落した2003年に、Drum中心のスラッシュメタルサウンドをCDの許容時間限界(全11曲75分)まで鳴らすAlbumを世界中でHitさせる。もはや人に聴いてもらうことなど考えず、自分で演奏を楽しむことに集中しているのだろう。だってそれでも全米No.1の座は揺るがないのだから。(mz)
GARAGE INC. (1998, Elektra)



 スタジオ作としては8枚目の二枚組カヴァー集。ディスク1は新録のカヴァー,ディススク2にシングルB面などでカヴァーした曲をそのまま収録した変則的な構成の新作だ。収録曲の録音年代が多岐に渡るため,本作には彼らのサウンドの変遷を追えるという楽しみがある。例えば,近年のMetallicaといえばLoadからハードロックにイメージチェンジした,という印象があるが,ディスク2を一通り聴くとその変化は突然のものではなかったことがわかる。1枚目は新録ということで現在のバンドの姿を浮き彫りにしているが,演奏はとてもエネルギッシュ。大物的な贅肉を感じさせず痛快感がある。本作はカバーオンリーということで彼らの姿が見えないと軽んじる向きもあるが,実際は逆に受け止めるべきだ。カバーはその時のバンドの状態が反映されるもの。カヴァーが充実している時はオリジナルも優れたものが多い(その逆も真なりとは言えないが)。1枚目に記録されている状態で新作が製作されるのならば,それは充実したものになるだろう。(信沢)
RELOAD (1997, Elektra)



 いま中古盤屋で、メタリカの出世作『メタル・ガレージ』が高値で取り引きされている。現在廃盤で入手困難ということもあるのだが、この時代のメタリカが高く評価されているということの証明とも言えるのではないか。逆に言えば、『メタル・ジャスティス』『メタリカ』以後のアルバムがコアなファンの支持をそれほど受けていないという事実を端的に語っているとも言える。そういうファンにとっては前作『Load』はメタリカを見放す決定的なきっかけだったろう。ポップな曲調、ファンキーなリフという、メタルにとっての定番が崩された内容は、「One」以降のファンも疑問符を投げかけた。が、個人的には、決して悪いアルバムではなかったと思っている。むしろメタルの“お約束”にどっぷり浸って進歩のかけらも見られないバンドなんかよりずっと清々しい姿勢だと思っている。『Reload』は、タイトル通り前作と対をなすもので、いくらかヘヴィな曲が収められているが、基本的な姿勢は前作と変わらない清々しさ。ということはお約束好きにはちょっと、という内容。それにしても、ゲストのマリアンヌ・フェイスフル、完全にメインを食ってます。(鎌田)
LOAD (1996, Elektra)



 リリースにあたってなによりも話題になったのは、髪を切ったことだった。ロゴも変えて、メンバーがオアシスの追っかけして、しかもアルバムはいかにもメタルというフィールド外を狙いました、という出来。これじゃメタルサイドからは総スカンかと思えば、セーソク先生はアルバム発売当時、明確な表現は避けて逃げ道を残していたというのは蛇足だが。私自身はこのアルバムは前作の延長線上にあると思うが、今回はっきりとロックに目を向けたアルバムを作ったことで、明確になった事がある。メタリカというバンドは、このフィールドで本気で争うには、欠けているものが多いということだ。楽曲の魅力、歌唱力、歌詞表現…。この先ロック的アプローチを拾得してゆくのか、「ロックに目を向けたメタル・バンド」としてやっていくのか。今、彼らが誇れるのは「メタリカ」ブランドだけだ。もっともそれだけでもなんとかやっていけるのかもしれないが。(宣恵)


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