BRIAN McKNIGHT

U TURN (2003, Motown)



 ブラマクの良さはやはりスムーズなトラックにあの細目の声で、しかしゴージャスにクワイエット・ストーム系のバラードを歌い回すところにあるわけで、ライヴを見に来るファンもCDを買うファンも殆どがそういう曲でハイになりたい、と思ってるのは間違いない。一方でブラマク自身は結構ワッショイ乗りのスポーツファンで(笑)ツェッペリンやAC/DCなんかのギターバリバリのハードロックが好きなサウンドおたくだったりするから面白い。そういうこともあって前作とそのツアーではギターバリバリのブラマクにちょっと引いたファンもいたりした。ブラマクもこの辺のミスマッチは心得ていて、毎回アルバムもメインはゴージャスなスロウを据えて、端の方でちょっとロックっぽい奴とかヒップホップ系を添えてバランスを取ろうとしているのがよく判る。今回も正にそういう作り。前作と違ってロック系の音は入れてないのでR&Bファンも安心して聴ける作りだし。特に「Shoulda, Woulda, Coulda」からモロにスティーヴィー・ワンダーを意識したイケてるグルーヴの「Been So Long」を経てジョー+カール・トーマス+タイリース+タンクをフィーチャーした一大ソウルエピック「Good Enough」で頂点を極め、ひたすら美しい「Someday, Someway, Somehow」、アカペラ風に迫る「For The Best Of My Life」と流れるあたりの中心部の構成は見事。でも冒頭のネリーは「あれ?」だし、タイトル曲のファボラスもハッキリ言っていらない。唯一コラボ曲での収穫はエンディングのカーク・フランクリンをフィーチャーのゴスペル曲。才能あるんだから、いろいろやりたいのは判るけど一度直球一本勝負で行ってもいいのでは?(阿多)
SUPERHERO (2001, Motown)



 なにかと物議を醸しだしているブラマクの新作。単なるイントロと思いきや延々と続くオーケストラの1曲目や、デフ・レパード+レニクラ的ギターロックを展開する9曲目のタイトル曲など、今までの彼のキャリアを思うとギョッとする曲調ではある。しかしこの2曲以外はいつもとそんなに変わらない。むしろヒップ・ホップ色の強い前々作『Anytime』よりおとなしいくらいだ。そうはいっても皆が彼に期待するのは前作『Back At One』の路線だから、ギターが鳴っただけで大騒ぎになるのだろう。しかし、作詞作曲はもとより、楽器の演奏もプロデュースもできる人である。類型的なバラードだけやってればいいと言うのはあまりに酷ではないだろうか。R.ケリーも一時期妙なこと(アルバム『R.』)やってたけど、ブラマクの場合、少なくとも(ロックの方はともかく)オーケストラの方は良く出来ている。この経験が今後ストリングスのアレンジなどに生かされるのかとか、もしかして将来はサントラにも進出するのかなど、いろいろ推測してみるのも楽しい。才能ある人なんだから、いろんなことに挑戦するべきだと思う。ただし、やっぱりバラードは安定供給してほしいけど。(松本)
ANYTIME (1997, Mercury)



 誰しも信頼しているというか、「こいつが出たら買わなきゃな」という風に変に固い信義(Faith)を寄せている奴がいるもんです。僕の場合その一人がこのブライアン・マクナイト。はっきりいって今のR&Bボーカルで表現力の豊かさではこの人をおいて他にいない。ルーサーは確かに名人芸だが、技術過多でややクサイのが難点。そこへいくとこいつは真摯な人間性がひしひしと伝わってくる情熱と、クールな表現力が素晴らしい。残念ながら真面目な性格が災いしてか、出世作『One Last Cry』以降のアルバムでは考えすぎのセルフ・プロデュースが今一つ突き抜けてなかった。今回はそれがこだわりなくすーっと抜けて、同時にエモーションが力強く迫る曲が満載の佳作に仕上がっており、思わず手を叩いた。パフィのプロデュースのシングルに本格派R&Bファンは引きそうだが、この曲はアルバム中ではむしろ例外中の例外。これ以外はブライアンの真骨頂のクールな情念のうずまく美しい曲が並んでいる。幸いパフィを利用したティーンエージャー層を狙ったマーケティングが当たったか、ここへきてじりじり売上を伸ばしてきている。冒頭のタイトル曲から『Could』へ流れるあたりや、アルバム後半などはただひたすら美しい。推薦します。(阿多)


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