|
BACK IN THE U.S. LIVE 2002
(2002, MPL / Capitol) |

|
当年とって61歳の還暦ポールが昨年2002年に敢行した全米“フリーダム”ツアーの様子を納めたのがこの2枚組ライヴ。ハッキリ言ってポールの歌は昔から決して巧いと言える部類ではなかったのが、やはり寄る年並には勝てないと見えて声は出てないは、「Maybe I'm Amazed」なんかのハイキーの曲では凄く苦しそうだはでなかなか哀愁なのだが、やはりポールは曲で勝負ということで自分がリアルタイムだった70年代の「Band On The Run」とか「死ぬのは奴らだ」等の聴けるディスク2なんかでは結構盛り上がる。逆に言えばビートルズの(特に初期の)曲とかは変に醒めて聴けてしまうし、つい最近の曲はハッキリ言って大した出来の曲は少ないのでそういう曲中心のディスク1は盛り上がれない。彼と同時代性を微塵も感じ得ない30歳以下の世代にははっきり言ってどうでもいいCDだろうし、ビートルズやポールの昔の曲で青春を過ごしたベイビーブーマー達に取っても、ひたすらヒット曲オンパレードのこのアルバムはコーヒーテーブル・ブック的な価値以上でも以下でもないんだろう。でも同時代性を感じる一瞬が少しでもある人に取ってはまったりとした空間の中でふんわりとした快感を感じることができるという効用はありそう。ポールの熱心なファンのみにおすすめ。(阿多)
|
|
DRIVING RAIN
(2002, MPL/Capitol) |
 "_blank">
|
オリジナルとしては、'97年の「Flaming Pie」以来4年ぶりになる。その間、ライヴやカバー・アルバム、ベスト盤が出ていたのであまり空いていた気がしない。リンダの死後、初めてのオリジナル・アルバムという事で、どういう創りになるのかと思っていた。聴き終えてみて思うのは、どういう音を作りたかったのかが見えてこない、と言う事。LAでのレコーディング、アメリカ西海岸のロック&ポップス畑で活躍したデヴィッド・カーンのプロデュース。もっと明るい感じになると思ったが、イメージは逆に雨のリヴァプールのような作品群が並んでいる。1曲1曲は悪くない。小気味の良いオープニング「Lonely Road」「Driving Rain」。ちょっと切なくて温かい「From A Lover To A Friend」「I Do」。全体の中では、アクセントになっているインスト曲「Heather」など。でも、何かが違う。作りが雑。アレンジやヴォーカル処理1つ取ってもそうだが、もう少し丁寧に作っても良かったと思う。曲も16曲なんて詰めこみすぎている。全体的に散漫なイメージが強い。曲のクオリティもやや落ちる曲があるし。「Riding Into Jaipur」などは1曲で10分を超えていて長すぎる。初めて会ったメンバー達と2週間でレコーディング、5週間で完成させたという。『シンプルなライヴ・レコーディングを目指し、ベーシストとしての自分を打ち出した』というが、ちょっと安易に作られてしまった、と思う。リンダの死を乗り越え、新しいパートナーとの出会いが再び彼を活動させたのだとしたら、これからの作品に期待をしたい。2曲で息子ジェイムスとの共演を果たし、それはそれで喜んでいるんだろうな。(小松)
|
|
WINGSPAN: HITS AND HISTORY
(2001, MPL/Capitol) |

|
よく行く西新宿の中古レコード屋に、いつもポール・マッカートニーのレコードをかけている店がある。その店でレコードをサクりながら曲を聞くともなしに聞いていたら、あることに気がついた。ポールの曲の多く、特に、70年の『McCartney』や、80年の『McCartney 』などに、現在のアヴァン・ポップと共通する部分がかなりあるのだ。確かに、転調を多用したりルート音をわざと避けたりする手法は、そうした一群の音作りと呼応する。ポール自体が、アヴァン・ポップのバイブル『Pet Sounds』に影響を与えた張本人の一人だから、当然と言えば当然のことなのだが。それに加えて、ビートルズの『1』もベストセラーとなり、明らかに時代がポールに追い風となっているのは確かだ。ということで、その余勢を駆ってかベスト盤が発表された。『1』を意識したと思しきデザインが微苦笑を誘うが、それはまあそれとして。内容は、タイトルから類推できるようなウイングス時代のポールのベストという感じではなく、同時に放送された同名のアンソロジー(日本ではビデオで発売)と呼応する、ソロ初期から80年代初期までのキャリアをまとめたもの。選曲で興味深いのは、シングルのみの発売が多い時期にもかかわらず、アルバムからの曲がかなり多いこと。中でも、『McCartney』や『Ram』からの曲が異常に多く、「宅録もアヴァン・ポップもオレが元祖だ」という本人の主張が伺える。そういう意味では、ポールのソロをあまり聞いていない若い音楽ファンこそ、このアルバムを興味深く聞けるかもしれない。念のため言っておくと、"Coming Up" は、アメリカではB面のライヴ・ヴァージョンの方がヒットした関係で、米盤のみライヴ版に差し替えられている。(Yaz)
|
|
FLAMING PIE
(1997, MPL/Capitol) |

|
「Anthology」でのJeff Lynneとの仕事が今回の彼との共同プロデュースのきっかけだそうだが、結論から言うとジョージにはworkしても、ポールには必ずしも合わないことを証明することになった。そもそも両者のポップ・センスや曲へのアプローチはかなり異り、それが全体をらしくない作品にしてしまっている理由のようだ。映画とのタイ・インながら見事にこけたシングル「The World Tonight」にしても息子との共演作「Heaven On A Sunday」にしても、彼独特のメロディアスな魅力が感じられない。Steve Millerとの共作「Young Boy」にしても何か再結成したチューリップみたいだし。わずかに僚友George Martinプロデュースのアコースティックな小品「Calico Skies」に見るべきものがある程度。いきなり売れてはいるが、「Anthology」の客層が飛びついただけのような気がする。ジョンが生きていたら何といったやら。(阿多)
|