MATCHBOX TWENTY

MORE THAN YOU THINK YOU ARE (2002, Melisma / Atlantic)



 マッチボックスの作品を追っていて面白いのは、ロブ・トーマスのパフォーマーとしての、そしてソングライターとしての成長が進むにつれて、バンドの音が少しずつ当初のメインストリームAORロック路線からずれて行きつつあること。前作でも無駄なギミックのないストレートな音が目立ったが、今回はそれを更にもう一つシンプルに絞り、その分余計めにロブ・トーマス特有の節回しの効いたメロディを盛り込んだ、そんな感じがビートルズの『ラバー・ソウル』とか『アビー・ロード』あたりを連想させて頼もしい限り。「All I Need」なんてロイ・オービソンだし。サウンドだけではない。ギルバート・オサリヴァンの「アローン・アゲイン」からこっち、自閉症で強迫観念に苛まれる主人公をこれだけアップビートなメロディで語ったヒット曲(「Unwell」)があっただろうか。愛情の表現にしたって「Disease」(ミック・ジャガーに提供するつもりでロブが書いたが、ミックに『こりゃあ君の歌だぜ』と言われたという)や「Cold」に聴かれる男女関係は決して健全なものとは言えないが、ロブの詞とメロディはあくまで(明るいのではなく)ポジティブだ。今回はバンドの他のメンバーの書く曲も数曲含まれていてバンドとしてのトータル感を狙っているようだが、全体はどう聴いたってロブの世界。よくも悪くもそれが今のマッチボックスの魅力なのだ。(阿多)
MAD SEASON (2000, Lava/Atlantic)



マッチボックス・トウェンティは今やすっかりメインストリーム寄りアメリカン・ロックの代表選手としてシーンを引っ張って行ける位置にまで成長した。このアルバムを聴いて感じるのはボーカル/ソングライティングの要ロブ・トーマスを中心としたバンドの演奏が見違えるほど骨太でかつ一種の貫禄を増したこと、ブレイク後のアルバムによく見られる中途半端さやリスナーへの迎合が殆ど見られないこと、そしてロブの書く詞に思索的な深みが増したことだ。ロブのサンタナの共演とかいったギミックとは全く関係なくバンドとしてひたすら小気味よく、それでいて「Angry」「Last Beautiful Girl」「Leave」といったヒリリとしたリリックを持つ曲を叩き込んでくる彼らには今後の更なる成長の予感を感じる。いい意味での軽さと腰の太さとシリアスさがうまいミックスになっているのがいい。ちょっと誉め過ぎかもしれないが、2000年代のマッチボックスはいい意味で70年代のシーンにとってのイーグルスのような立ち位置を持てるバンドとしてもう一つ化けるんじゃないか...そんなことをふと思った。(阿多)
YOURSELF OR SOMEONE LIKE YOU (1996, Lava/Atlantic)



アメリカの若手のバンドによくある、もうとにかくライヴにライヴを重ねて叩き上げてきました、と言う感じの勢いを強く発散させているバンド。だから先日見た渋谷のオンエア・イーストであまり予備知識なしに見たライヴはびっくりするくらい熱かったし、演奏も手堅く、なんせ聴かせるところが強みだなあとしみじみ思った。ソングライティングとボーカル担当のロブ君の才気に大きく寄るところも多いのだが、何しろバンドとしてのトータル感や、乗りのいいステージ運びがいい。書く曲もジョン・クーガーあたりを彷彿とさせるケレン味なく魅力的なメロディーの曲が多い。アメリカのFM曲などでいかにも人気を呼びそうな曲調の『Push』『3 AM』と立て続けにヒットを飛ばし、ラジオでの反応を梃子に人気を積み重ねているだけに、そうそう急激に人気が廃れることもあるまい。こういうハートランド系のバンドにしては、ローリングストーンズ誌の1997年の年間新人バンドに選ばれるなど、業界プレスの受けもよさそうだ。彼らのこれからの課題は、次作にどう取り組むかということと、ジャケットのセンスを磨くことだろう。アメリカのバンド層の厚さを痛感させる快作。(阿多)

 カウンティング・クロウズを少しポップにした感じ。何も新しくないが、自分の感性にジャストフィットするような、無上の心地よさを感じる。「Push」も「3 AM」も「Real World」も「Back 2 Good」も、みんないい曲だ。よけいな装飾などいらない。ただ、いい歌があるだけ。非常にアメリカ的な大陸的メロディが冴える。こういう音だからルックスはムサいんだろうと思ってたら、ボーカルの男が端正でかっこいい。こりゃ売れるわ。これでもうちょっとセンスのあるジャケだったらなぁ。スペシャル・サンクス欄の後に、どうでもいい内輪ウケネタが書いてある。デビューアルバムの瑞々しさ。今日もアメリカのどこかでライヴやって、仲間みんなで飲んで騒いでるんだろうな、ってことが伝わってくる。「生きた音楽」なのだ。しかし、これだけ売れてしまった。これから業界の柵の中で生きて行かねばならない彼等は、この感性を失わずにいることができるだろうか。失って欲しくない。そう祈らずにいられない、とてもいいアルバムだ。(しんかい)


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