MARILYN MANSON

HOLY WOOD (IN THE SHADOW OF THE VALLEY OF DEATH) (2000, Nothing/Interscope)



 マリリン・マンソン3部作の第一章が遂に登場(「Anti-Christ Superstar」が最終章、「Mechanical Animals」が第二章と発表順とは逆になっている)。更に本作はマリマン自身が執筆した本「Holy Wood」とも連動しているとのこと。さて本作ではレッチリやヘルメットを手掛けたデイヴ・サーディをプロデューサーに迎え、ヘヴィで破壊的な持ち味を壊さずに、バンドとしての一体感が伝わってくるグルーヴに満ちた作品に仕上がった。アルバムは本作で使われているキャラクターのアダム・カットマンの名前「A」「D」「A」「M」の文字をとった4つのパートに分かれており、それぞれの副題に添った楽曲が収録されている。先行シングル「Disposable Teens」での強力なリフも印象的だが、ジョン・レノンに捧げたバラード「Lamb Of God」での静寂さ、「King Kill」でのディストーションにおおわれた静かな怒り、「Count To Six〜」での無情感など、様々な感情表現の詰め込んで独自のダークな世界を展開している。恩師トレント・レズナーとの仲違い解消、恋人ローズ・マクゴーワンとの別離と新恋人の登場、エミネムとのコラボレーションなど相変わらず話題に欠かない彼ら、21世紀を迎えての動向に目が離せない。(中村)
MECHANICAL ANIMALS (1998, Nothing)



 マリ・マンは「音を聴かなくても楽しめる」音楽である。そこにマリリン・マンソンがいるということが重要なのである。そうは言っても、流石に鬼才トレント・レズナーが全面的に参加した前作と比べてしまうと、今回はいかにもつまらない。マリ・マンは、色物であることを期待してインタビューとか読むと拍子抜けする。その表現の仕方がちょっと屈折してるだけで、根はかなり真面目な人なのだ。で、今回のプロデューサーはエアロやモトリー・クルーでお馴染みのマイケル・ベインホーン。とくれば、本作は「正当派ロック」以外には成り得ない。やっぱりレズナーのような人にブッ壊してもらってこそ、あの強烈なインパクトが生まれたのだ。「まともなロック」になって聴き易くなったのは間違いない。が、あなたはこれではいけないのだ。あなたはもっとブッ壊れて、突っ走って、「おいおいそこまでやるか」と我々を楽しませ、笑わせ、驚かせてくれなくてはいけないのだ。本作はプロデューサーの力量不足というか、人選ミスである。マリ・マンが悪いわけではない。(しんかい)
ANTICHRIST SUPERSTAR (1996, Nothing/Interscope)



 楽しい。そう感じられないと、これは聴けないと思う。Nine Inch NailsのTrent Reznorプロデュースということで音はインダストリアル。で、もう何しろホラー好きの猟奇趣味で、ひたすら趣味が悪い。しかし、あの白塗りメイクや痙攣踊りも、所詮はKissと同じレベルのエンターテイメントなんだから、目くじら立てずに笑ってあげられる余裕がないと、これは楽しめない。こけ脅し、中味がない、イメージ先行、子供騙し。批判の言葉はいくらでも思いつくし、全部当たってはいると思う。でも、生憎それらの批判は的外れだ。コメディアンに向かって「お前は不真面目だ、けしからん」と怒ってるようなもんだから。MTVでヘヴィローテーションとなった「The Beautiful People」なんて、ヘヴィだけど実はキャッチーな展開&メロディで結構癖になったりなんかする。ぜったいライヴとか楽しいと思うな。米Rolling Stone紙読者投票では96年のベスト新人(で、同時にワーストバンド)。(真貝)

 このジャケにあのビデオにこのバンド名。当初はキワモノ系かと敬遠したが、先入観なしに聴いてみるとなかなか面白い。「トレント・レズナー主催のレーベルからデビュー」といった情報を必要とするまでもなく、明らかにナイン・インチ・ネイルズの影響を受けたサウンドは、しかしながらいわゆるインダストリアル系とは一線を画している。えてしてこの系統は「こういう音が好きで他のものは聴かないから、自分で演っても同じ音になりました」的なものが多いが、マンソンは逆に、様々な音楽を取り入れながらナイン・インチ・ネイルズ的サウンドを選択しているように感じられる。曲そのもののクオリティもなかなかで、その上完全にエンター・ティナーであろうとする姿勢は、キッスに通じるものを感じる。これは個人的苦悩・感情はアーティストとして表現しない、という姿勢につながるが、こうした反グランジ的な流れがオルタナ系にも出始めたというのも面白い。(宣恵)



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