ALICIA KEYS

SONGS IN A MINOR (2001, J)
ここでこのアルバムが買えます 音楽に限らず、低迷する市場において求められるのは、求心力を持った新商品。そしてそれはときに、古き良き時代を再現したレトロな芸風だったりする。2001年最も活躍した新人(いままでもちょこちょこ姿を見せてたけど)となったアリシア・キーズも、まさにこのタイプ。70年代のソウルを連想させながら、ヒップ・ホップの要素も少しだけ取り入れることで現役感を強調。キャラクターとしても、ピアノと歌の英才教育を受け、作詞作曲アレンジプロデュースまですべてをこなし、おまけにモデル並みのルックスという全知全能的な存在感をアピールする。そして「あのクライヴ・デイヴィスがわざわざレーベルを興して送り出した新人だから」という市場の期待感がそのままアルバムのメガ・ヒットへとつながった。確かに良くできたアルバムで、これといった欠点は見当たらない。だけど何か物足りない。欠点を潰しすぎてあまりに無難な仕上がりになったのだろうか。たぶんここまでヒットしたのは、マーケティングが当たったからだろう。だから、このアルバムは旬である今のうちに聴かないとダメ。数年後、「あの頃、アリシア・キーズの盛り上がりってすごかったよね」と昔話に花を咲かせるためにも。(松本)

 アルバムは初登場にしてTop200とR&Bチャートの1位に立った。デビューシングル「Fallin'」はシングル・チャートのトップに踊り出た。一度はコロンビアからデビューも決まっていたが、レーベルの政治的問題から流れ、かのクライヴ・デイヴィスが抜き取り、自らのJレコードへ移籍させてデビューに辿り着いたと言う逸材。マンハッタン生まれ、イタリア系の母親とアフリカ系の父親の元、恵まれた経済環境ではなかったもののクラシック・ピアノとバレーのレッスンを続けていたと言う。結果、ティーンエイジから目覚めたヒップホップとクラシック、R&Bなどが融合されたサウンドが確立した。驚くべきはあの管理主義のクライヴの元、ソングライティング(2曲のカバーを除き)、プロデュース、アレンジなどほぼ全面的に本人が手掛けている。アルバムタイトルも自らのイニシャルを掲げ、自身もピアノを披露するなどしっかりとした自己主張をしているところが特徴的だ。他の新人アーティストには見られない強さであり、それを通す才能があると言える。ウェストヒップホップ・スタイルを取り入れながらも、ヴォーカルと曲調はあくまでオールド・ゴスペルR&Bであり、また本人の爪弾くピアノが全体を締めるアクセントとなっている。どの曲を取ってもアリシア・カラーが出ている。取り分けて「Fallin'」「Lovin' U」「Goodbye」など、本人単独作はまた秀逸。(小松)


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