KRS-ONE

KRISTYLES (2003, Front Page / In The Paint / Koch)



 誕生日が同じ有名人というのはどうも肩入れしたくなるが、私はKRS-oneと誕生日が一緒らしい。他に梅宮アンナやピーターバラカン、ロバートプラントが同じ誕生日である。言わずと知れたBoogie Down ProjectのメンバーでRUN DMCやPublic Enemyと肩を並べて語られるべきグループとして語られる彼がどんな音楽家か検証してみましょう。我こそはKING OF HIP-HOPとでも言いたげな自慢話、HIP-HOPとは何かの哲学論・歴史論、個人名を挙げての誹謗中傷、とライムはリスナーを選ぶ性質のものである。それと逆行してトラックはP.diddy顔負けの売れ線ポップスを貫いており決して通好みではない。ルックスはJames Brownをそのまま若くした感じで、Albumジャケットではそんなやつがアップで写っており褒めにくい。本作に新機軸は見られないし、そもそも15年以上ワンパターンである。英語が聞き取れない私のような人間はライムを聞き流すし、ジャケットさえ我慢すれば彼の顔を嫌でも目に付くという環境にいないので、売れ線トラックを浴びることができて平和に楽しめるかも。(mz)
I GOT NEXT (1997, Jive)



聴いているとまさに唾が飛んでくるような迫力のKRSのラップはBDP時代か らの数々のバトルによる精進の賜物。今やヒップホップにおけるMCのスタイル の一つの頂点に位置する。本作でも彼の口からは自信たっぷりに「俺はKRS だ。お前らはこうしろ、ああしろ」とボースト(自己顕示)する説教臭い、とい うよりは、説教そのもののライムが発射される。Temple of Hip Hopの信者達に は至福の時。だが、彼の熱狂的信者ではない筆者にとってはもてあまし気味。目 の前で仁王立ちしているようなKRSの存在感には圧倒されてたじろぐ。 華や かなゲスト陣を招いての多彩なプロダクションだった前作と比較してみれば、本 作はKRS本人がプロデュースを行った作品が多くを占め、よりワンマン色が強 まっている。ラガラップを披露するのも自分のルーツが現われたもの。KRSが 語りかけてくる内容も彼の好みが反映されたトラックも筆者には少々冗長なもの に思えて辛い。(信沢)

 この人は本物だ。ちょっと怪しいぞ、という時期もあったけど、これなら大丈夫。ステージでのMC的な普通のしゃべりがだんだん韻を踏んでリズミカルになって聴衆をぐいぐい引き込んでいって、もう完全にKRS-ONEのペース。そして大歓声に包まれながら1曲目になだれ込む。「ヒップホップの教師」を自認する彼が自分のスキルの全てを詰め込んだ。ラッパー仲間たちからのリスペクトは失えな い。と同時に、今までヒップホップという音楽に興味をもっていなかった人にもその魅力を伝えたい。すごく欲張りなアルバムではある。しかし、結論を言えば、この人にはそれだけの物を作れる実力があったのだ。先行シングルこそBlondieの「Rapture」を使った分かりやすい曲だが、その曲にしても歌の部分以外はビートとラップだけ。録音状態が良くなってること以外は、15年前のラップとあまり変わらない。つまりラップの「基本」の姿がここにある。ラップを全然聴かない人がいきなり聴くのはキツいが、「最近のラップはつまんなくなった」という人はぜひ。(しんかい)


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