ELTON JOHN

SONGS FROM THE WEST COAST (2001, Rocket/Universal)
ここでこのアルバムが買えます  昨年、バンドを率いての単独公演はほぼ28年振りという来日を果たしたエルトン・ジョン。そのコンサートの1/4を占めていたのが、本作の曲でした。コンサートでも自信作だと盛んにアピールしていましたが、往年のファンの間では賛否が分かれるようです。一昨年の「エルドラド」でのTim Riceとコンビから一転、4年振りでBernie Taupinの詞に曲を付け、70年代前半の黄金期を支えたミュージシャンやアレンジャーを迎えて制作されました。これを単純に原点回帰と見なすか、今後の創作活動の敷石と捉えるかで、評価が分かれてしまったようです。80年代にも『Two Low For Zero』で同様の試みを行っていましたが、今作に対するエルトンの意気込みはそれ以上です。アルコールや薬物への依存症から立ち直ったエルトンは、50代に入って創作意欲が一層増した感じです。テロに怯むことなく、精力的にプロモーションで欧米を飛び回っていたのも、「やる気」の表れだと思います。突出した佳曲が無いことが災いして、第一印象は地味かもしれませんが、久々に充実した内容のアルバムです。(真田)
ELTON JOHN'S THE ROAD TO EL DORADO (2000, DreamWorks)
ここでこのアルバムが買えます ドリームワークスが「プリンス・オブ・エジプト」に続く作品と位置付けたアニメーション映画「エル・ドラド」のサウンドトラック。手掛けたのは「ライオン・キング」「アイーダ」と大ヒットアニメではお馴染みとなり始めたティム・ライスと我らがエルトン。全曲が2人によって手掛けられ、プロデュースはパトリック・レナード。ストーリーは男2人組が故郷スペインから伝説の黄金郷エル・ドラドを捜し求めて旅する間の笑いと冒険の道のりを綴ったもの。苦労の末に巨額の富を手にした時に気づいたのは、富ではなくもっと大切なもの「友情」、というオーソドックスなスタイル。サウンドトラックは「ライオン・キング」同様スケールの大きい映画のタイトル「El Dorado」から始まる。最近のエルトンは、この手の曲を書かせたらピカ一としか言いようがない。そして全編にわたるエルトン節。シングルとなった「Someday Out Of The Blue (Theme From El Dorado)」はミディアム・テンポで希望に満ちたナンバー。Hot100にも登場し、4ディケイド・エントリーを果たした。サウンドトラックとはいえ、その実態はエルトンのオリジナル・アルバム。自信に満ちた力強い歌声は名作「Big Picture」を踏襲する。「Friends Never Say Goodbye」ではバックストリート・ボーイズを従え、なんとメランコリック・ラテン・バラード。バックスとは思えない(失礼)ハーモニーワークで、言われなければ分からないほど。支えるバックもコーラスに元イーグルスのドン・ヘンリー、ティモシーB・シュミット、リチャード・ペイジ、ギターにブルース・ガイチ、ドラムにジム・ケルトナー等気心知れたメンバー達。ロックナンバーあり、バラードあり、曲想もバラエティに富んでいる。極みは奇才ランディ・ニューマンとのデュエット。なんとボサノバ!。舞台となったスパニッシュテイスト十分。しかし、グラミー賞の授賞式でのエミネムとの共演も話題だが、本業の歌の方でもっと話題を提供して欲しいもの。(小松)
THE BIG PICTURE (1997, Rocket/MCA)
ここでこのアルバムが買えます  初めて聴いたとき、「あちゃー、こりゃ前作“Made in England”よりは落ちるし、売れないな」と思った。なぜって、アップテンポな曲が最後の1曲だけだから。残りは全て甘いバラード調で、前作にあった切れ味がない。プロデューサー、クリス・トーマスのせいかもしれないが。ふと、70年代の「ロックン・ローラー・エルトン」を知っている古くからのファンがガッカリしている姿が目に浮かんだ。しかし、このアルバム、聴けば聴くほど味が出てくるのだ。何と言ってもエルトンのヴォーカルが良くなった。昔のような高音はもう聞くことはできないが、その代わり低音をうまく使った力強いヴォーカル。それはもう渋みの極みである。サウンドはもろ中庸路線だが、エルトンをダイアナさんの葬儀で初めて知った、なんていう人たち(信じられないと思うが日本には結構多いんだな、これが)にはこの程度の路線でアピールできると思う。50歳になったエルトンの穏やかな心そのままの穏やかなアルバムである。(岩崎)


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