JANET JACKSON

ALL FOR YOU (2001, Virgin)
ここでこのアルバムが買えます  97年秋に発表された前作"The Velvet Rope"は各方面から「ジャネット最大の傑作」と大絶賛された。それだけに今回の4年ぶりとなる最新作に対するプレッシャーは相当のものだったと推察される。しかし彼女はそんな重圧をあっさりと吹き飛ばした・・・このアルバムはそう感じさせるに十分すぎるほどの出来栄えだ。前作は大絶賛を受ける一方、ドラムンベースを主体とした曲など、「時代」をモロに意識したところが幾許か見え隠れし、一部のオールドファンには多少受けの悪かったところもあった。又、年々ヒップホップ寄りのアプローチを見せるようになる彼女に戸惑いを隠せない人も少なくなかったと思う。しかし今回のアルバムはより純粋に一曲一曲の「楽曲としてのクオリティ」、言い換えればポップスとしての完成度を追究しているように思う。彼女がブレイクしたばかりの頃の、耳触りが良く、思わず体を動かしたくなるような曲ばかり。もちろん彼女独特の、耳元で囁いてくるかのようにしっとり体に染み込んでくるバラードも健在。一つ一つの曲のクオリティをより追究するあまり、全体の流れがしっくりこないのが難点だが、彼女の曲は楽しめてなんぼのもの。そんなの気にしない!(小川ボ)
THE VELVET ROPE (1997, Virgin)
ここでこのアルバムが買えます  何だかジジ臭い話で恐縮だが、何十年か後、自分の子供に90年代の大衆黒人音楽について語る機会があったら、90年代後半の代表作として僕は迷わずこの作品を挙げるだろう。それほどこのアルバムは「今」のブラックミュージックの様々なエキスを見事に一つの音のフルコースに仕上げている、ジャム&ルイスの職人芸がいかんなく発揮された傑作だ。さらに特筆すべきは、ジャネットのキャラクターや思いみたいなもんが、曲の構成や詞のあちこちに感じられ、彼女自身の息づかいが聞こえる点である。アップビートなサウンドにスピリチュアルな詞の『Together Again』、R&B/ソウルのサウンドコラージュ的な作りがわくわくさせる『Free Xone』、カバーながらジャネット自身のエモーションを強く感じる『Tonightユs The Night』など、プロダクションワークとジャネットのコラボレーションは見事の一語に尽きる。某音楽誌の「パフ・ダディとはやらないのか」との問いへの「全てがうまくいってるのに、変える必要ないでしょ」との答えに、双方の強い信頼関係が見える。悪いものができようはずがない。無条件にお薦めできる1枚。(阿多)

 「Got 'Til It's Gone」のビデオの美しさといったら。「黒人という生き物」の美しさを余すところなく伝え、彼等の息づかいや体臭までもが伝わってくるような素晴らしい映像だった。どうして君は周囲に合わせられないの?と文句をつけたくなるQ-Tipの「ヒップホッパー然としたふるまい」が終始そのスチル写真のような美しいシーンをかき乱す以外は、完璧な美しさだ。ジャネットは、どんどん白くなっていく機械化人間の兄とは正反対のアプローチをとった。黒人としての自分の美しさに気付いた彼女には、それをベストな方法で、最大限に美しく表現してくれるジャム&ルイスという強力なパートナーがいる。31歳という年齢相応の落ちつきと、深みと、色香を身につけたジャネットは、徹底して人間くさい「生 - Live」の音楽を選んだ。美しい。何の装飾も、コケ脅しもない、生ジャネット。ポップス史には「ジャネットの商業的失敗作」として残るだけかもしれないが、黒人音楽史には燦然と輝く金字塔として、長くこの作品の名前が刻まれることだろう。(しんかい)


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