ALAN JACKSON

DRIVE (2002, Arista Nashville)
ここでこのアルバムが買えます  日常。
 カントリーで歌われるテーマは、ほとんど日常についてである。その中でもトラディショナル・カントリーともなればなおさらだ。アラン・ジャクソンの代表曲は今でも「Don't Rock The Jukebox」だと思うが、ロックさえ聴かない彼らの日常なんて、日本人は興味がない。そう思っている人は多いかもしれない。本作も、基本的には日常を描く。最初と最後を車の話でまとめたり、最後の曲は初恋と思わせつつオチがあったり、スト様とのデュエットではさすがに味のあるところを見せてくれたり。しかしこんなことはいつも彼がやってること。歌詞のテーマも曲調も、このアルバムだから突出している部分は特にない。
 しかし。
 彼は同じように日常を表現したはずだった。違ったのは、表現の対象が全くの非日常だったこと。9・11事件に対する素直な気持ちを綴った「Where Were You (When The World Stop Turning)」。この曲は事件を他人事だと思っていた多くの人には逆に非日常に映った。それは「すぐにでも報復すべきだ」「飢えた人々を攻撃するのは間違っている」「正義のために戦争を」「報復からは何も生まれない」など、有事に対する議論は日常を埋め尽くし、この事件についての民衆の気持ちは遮断されてしまったから。だから非日常に対する日常的な視点が、日本人にとっては逆に非日常の、意外性のあるのある表現となった。そして今、彼に興味を持たなかった人々までが、この1曲に注目する。
 考えてみると事件の翌日にここまでの曲を書けたというのはものすごいこと。ボスだって一年かけて事件についての曲を発表したわけだし。日常を淡々と歌い続けることが、いかに才能の必要なことかと思い知らされる。この1曲しか知らない人も、この際アルバム通して歌詞をチェックしてみたら?(松本)


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