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取り憑いたような(haunting)、という形容詞がこれほどぴったり当てはまる歌声はない。1995年の『Wrecking
Ball』でダニエル・ラノワの空間を凍てつかせるようなプロデュースの下、ニール・ヤングやスティーヴ・アールなど他のソングライターの作品に乗り移るかのようなパフォーマンスを聴かせ、自らのキャリアの再定義を見事に成し遂げたエミルー。今回はラノワの薫陶を受けたマルコム・バーンのプロデュースのもと、ほぼ全編自らの曲を素材に前回に勝るとも劣らず滔々としていながら迫力迫る音世界作りに成功している。一昨年リンダ・ロンシュタットとのデュエット作があったが、やっぱり最近のこの人は自分の世界にどっぷり浸かる方が作品に切れ味が出るようで、一曲目の「The
Pearl」から次の「Michaelangelo」に続く当たりなど彼女の歌声と控えめながら力強いバッキングに冒頭から圧倒される。アラバマの赤い土の上で不幸な一生を送った女の物語を淡々と唄うタイトル・ナンバーから、デイヴ・マシューズとの心和むデュエットが美しい「My
Antonia」まで、ルーツ・ミュージックというよりも、現代フォーク・ミュージックの可能性を改めて実感させるアルバムだ。シリアスなロック・ファンにこそ是非聴いて欲しい作品。(阿多)
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