MITCHELL FROOM

DOPAMINE (1998, Atlantic)

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 ロックフィールドでその動向が最も注目を浴びるプロデューサーの一人によるリーダーアルバム。近年の一連の水準の高いプロデュース作を聴いた者ならば,それら諸作のエキスを凝縮したとてつもなく中身の濃い作品を想像するだろう。このソロアルバムは,経費節減のために各プロデュースの合間に録音されたものが集められている。曲毎に入れ替わって登場するゲスト陣は彼が手をかけてきたアーティストであり,さながら本作は彼のプロデュース作の音の目録の様相を呈している。ただ,聴いていて思わず身を乗り出しそうになるような驚きに値する部分はない。これには,ゼロからの構築ではない,というアルバムの成り立ちが少なからず影響しているのかもしれない。アルバムとしての統一された意思が感じられず,曲毎に過去のアルバム群が連想されてしまう。アウトテイク集ではないのだから,本作を1枚の作品として提示するにあたってそれは好ましいことではない。30分強という短い収録時間のせいもあるが,どうも食べ足りない印象が残るのは期待の大きさ故か。(信沢)

 現在のロックシーンを語る上で欠かせないプロデューサーの一人ミッチェル・フルーム初のリーダー作で、制作はもちろん相棒のチャド・ブレイク。シェリル・クロウや奥方スザンヌ・ヴェガをはじめ、チボ・マットの羽鳥ミホやロン・セクススミスまで一曲毎に、これまで彼らに“大変お世話になった”アーティスト達がゲストとして登場し、ジャズとワールドミュージックとノイズが渾然一体となったような感じの摩訶不思議な世界を展開している。彼らの作り上げるサウンドは、それまでのメインストリームロックでは聴くことのなかった独特のスパイス感がユニークなのだが、ここではそのスパイス感が前面に出過ぎてしまい、作品全体が散漫な印象になってしまった(いうなればエスニック料理を食べてたら入っていたスパイスを丸かじりしてしまい、その後は口が痺れてどんな味だかよくわからなくなっちゃったような)感が強い。レコード屋で試聴盤を聴くとその場では刺激的でメチャクチャかっこいいのだが、買って帰って部屋で腰を落ち着けて聴いてみるとあまりよくない、という典型的なアルバム。(八亀)

 輸入盤ヤケに安いなあと思って買って帰って来たら、プレイヤーのタイム表示が示す時間は31分43秒。EP盤じゃないんだから、もう。これで日本盤はボーナストラックなしの2447円というのは、ちょっとマズいんじゃないの。さて、ミッチェル・フルームは、エンジニアのチャド・ブレイクと組んで、ロス・ロボスやソウル・コフィングなどのユニークなアルバムを作るプロデューサーとして知られる人物。と言うよりも、シェリル・クロウのダンナさんと言ったほうが話が早いかも知れん。近ごろ音響派という単語が聞かれるが、このヒトも音響に対する独特の哲学を持った人物で、楽器の配置や鳴らし方がそこらのロックとまったく異なって、およそ尋常でない音楽空間を作ることに長けている。このアルバムでもその傾向はより強まって、さらに個人名義であるせいか、かなり実験的かつプライベートな音作りを行なっている。とくに中近東風のサウンドと、ジャズ指向が目立ち、フィルム・ノワールのサントラを聞いているような面白さがある。プロデューサーの余技的小品と考えたのだろうが、もう少し長くてもよかった。(鎌田)


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