FIVE FOR FIGHTING

AMERICA TOWN (2000, Aware/Columbia)
ここでこのアルバムが買えます  傷付きやすい心。いつか幼い頃に見た覚えのある懐かしい心象。訴えても応えて貰えることのない叫びを発する心の痛み。こう書くとやたらクサい感じだけど、このアルバムを聴き始めた瞬間に耳に飛び込んでくる歌が与えてくれるのはもっとカラリと乾いた、それでいて胸の奥を締め付けるようなそんな感覚だ。1997年にメジャーデビュー以来長らく不遇を託ったLA出身のジョン・オンドラシックのソロ・プロジェクトであるこのファイファイが広げる歌世界は、70年代初頭のランディ・ニューマンやニルソンらのトルバドール・シンガー達の詩情と屈折感をそのままに現代のポップ・センスで磨き上げたもの。タイトルにふさわしくアメリカのポップ・カルチャー的な視点を投射しながら、クセがありながらぐいぐい聴く者を引き込む楽曲のパワーには非凡なものがある。そのポップカルチャーの象徴でもあるスーパーマンの孤独をスーパーマンの視点から訴えるというポップソングとしては画期的なヒット曲「Superman (It's Not Easy)」もさることながら、オープニングからリスナーの心を鷲掴みにする「Easy Tonight」のポップなパワーには圧倒される。他にも曲のアイディアの引き出しの多さには驚かされるほどいろんな表情を見せてくれるこのアルバム、久しぶりに一癖も二癖もあるポップアルバムとしてその手の音に飢えていた向きに心よりお勧めしたい珠玉の一品。(阿多)
MESSAGE FOR ALBERT (1997, EMI)
ここでこのアルバムが買えます LA出身、ピアノを中心楽器とする4人組のデビュー作。グループの曲を書き、ピアノを弾きながら歌う、というリーダーのJohn Ondrasikだが、詞からはどこか哲学的風情が感じられ、思索的なボーカルはEddie Veddarを思わせる。バンドのサウンドはピアノロックと呼ばれているが、ピアノが前面に出てこない曲が多いのでBen Folds Fiveとはかなり印象が異なる。J.Ondrasikは自ら弾くピアノを各楽器の中の一つとして扱っているようだ。4や10でストリングスを導入しているのはイメージを広げるためだとはいえ、7や12でのギターバンド的展開を聴くとピアノロックという範疇でくくることに非常に違和感を覚える。ギターによる弾き語りで始まる4に至ってはピアノレス。レコード会社の宣伝方針はピアノロックだが、これからどんな方向に進むのかわからないバンドである。個人的にはアルバム中で浮いている5のようなパワーロック路線をどんどん進めていって欲しいのだが。(信沢)


copyright(c) by meantime 1996-2002 all rights reserved.
無断転載を禁じます。