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ゴシックというのは大昔に建築分野で使われてた頃から、こけおどしっぽい意味があった。機能とは無関係な装飾という意味で。70年代末期にイギリスでゴスという言葉が音楽に対して用いられたときも、どちらかというとサウンドそのものより、ルックスだとか世界観などに適用する言葉だったはず。言ってみれば貧弱な体型を隠すための大げさな衣装や化粧、それがゴスの正体だった。それが90年代に海を渡ってアメリカにたどり着いたときに、いつのまにか意味が変わった。貧弱ではない、普通の体型にゴスの飾りをしたら派手になっていいんじゃないか。あるいは普通以上の筋骨隆々な奴が着飾ったら相当目立つんじゃないか。こうして絶対に相容れないと思われたヘヴィ・メタルとポジティヴ・パンクが合体して、アメリカにゴスという概念が定着した。今やゴスにふさわしいロケーションはヨーロッパの教会や地下室ではなく、アクション映画のスクリーンやプロレスのアリーナだ。このエヴァネッセンスは「デアデビル」のサントラがヒットのきっかけで、人気拡大はWWEレスラーの入場テーマに使われたから。映画とプロレス、マーケティングのセオリーどおりに成功を収めたバンドのメンバーは、実はルックスに自信がなくて人前でライブができなかったという前歴がある。こんなエピソードをきくと、サウンドや社会的地位はずいぶん変わったけど、アーティスト自身にとってのゴスというよりどころって、そんなに変わってないのかなあと思ったりするんだけど。(松本)
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