CELIA CRUZ

REGALO DEL ALMA (2003, Sony International)



 誰だっていつかは死を迎える。それは当たり前のことだけど、さすがにセリアの訃報にはアメリカ大陸中が深い悲しみに包まれた。結局ソニーへの電撃移籍後発表したアルバムはわずか3枚に終わり、このアルバムが遺作になった。最後を飾る大傑作?残念ながら違う。前作同様サルサという伝統の音楽にこだわることなくレゲエやダンス・ミュージックの要素を取り入れた多彩なスタイルを表現するバックバンドは相変わらず頑張っている。しかし肝心の彼女には声量がないし声質がまるで別人みたいだ。もう病魔に冒されてたのか。おそらくこのアルバムは彼女の代表作にはなりえないし、後年このアルバムが「遺作」以外のキーワードで語られることもないだろう。それでもリアルタイムに彼女の訃報を聞いた人なら、このアルバムの印象が鮮烈に残るはず。2003年の夏の日、悲しい知らせを聞いた直後に、このアルバムがリリースされた。体調に合わせた負荷のない歌い方を選ぶことはせず、名声に甘んじることなく、彼女は最後まで挑戦者でありつづけた。そしてアルバムのラストを飾るのはグロリア・ゲイナー「I Will Survive」のスペイン語カバー。これが、彼女の思いだったのだろうか。(松本)
LA NEGRA TIENE TUMBAO (2001, Sony Discos)



 どのジャンルにも関わらず、今やソロヴォーカルは女性上位時代、と思ったら例外もあった。それがラテン。これだけ盛り上がってる割には正統派の女性ヴォーカルが表に出てこない。シャキーラはオルタナティヴみたいなもんだし、ジェニファー・ロペスは論外。そういう現状をふまえたのか、ソニーは大御所セリア・クルーズを引き抜いてきた。で、これが移籍後第2弾。ラテン・ポップよりは、むしろブエナ・ヴィスタのようなキューバ音楽を想像してもらえば良いと思う。それをもっとパワフルに、リズミカルにした感じ。腹の底から沸き上がるヴォーカルは圧巻。そう、ラテン・ミュージックに生命を吹き込むには、これくらいの声が必要なのだ。まあどんな音楽もそうなのだが、ラテンだって今の売れ線と昔の価値観は違って当然。そして、ベテランが今も気合いの入ったアルバムをつくることも、どんな音楽にもあてはまること。若手R&Bしか聴いてなかった人がアイズリーの新作にぶっとんだように、スパニッシュ・ギターの哀愁メロさえあればラテンと思ってた人は、このアルバムを聴くとセリアの声にぶっとぶはず。(松本)


copyright(c) by meantime 2002-2003 all rights reserved.
無断転載を禁じます。