ERIC CLAPTON

ONE MORE CAR, ONE MORE RIDER: LIVE ON TOUR 2001 (2003, Duck / Reprise / Warner Bros.)



 御大クラプトンがギター/アンディ・フェアウェザー・ロウ、ドラムス/スティーヴ・ガッド、ベース/ネイサン・イースト、キーボードに何とビリー・プレストンとグレッグ・フィリンゲインズというロック系サイドマンと腕利きジャズ系ミュージシャンでがっちりと固めたスーパーバンドをバックに敢行した2001年ツアーの模様を納めた2枚組ライヴ。面子からいってすげえ演奏が聴けるんだろな、と思って聴くと特にディスク1は見事にはぐらかされる。ディスク1は主に最近の曲中心なんだが、ジャズ系バンドメンバーの手堅いアンサンブルで聴かせるインストの「Reptile」が皮肉にもいい感じ(でもクラプトンのレコード聴いてるって感じじゃない)な以外は何となく散漫な演奏に、これまた気の乗らないようなクラプトンのボーカルであれれ?という感じ。クリーム時代の名曲「Badge」やクラプトンのスロウハンド・ブルースギターが堪能できる「Have You Ever Loved A Woman?」そして豪快な「Cocaine」等昔の曲が続くディスク2になってやっと「らしい」演奏が聴けるが、これだったら何のためのスーパーバンド?何のための2枚組?と何とも納得がいかないことおびただしい。せっかくいいバンド揃えたライヴ音源、もう少しタイトに構成・プロデュースして欲しかった。同時発売のDVDもこれだとちょっと見る気が失せるよねえ。(阿多)
REPTILE (2001, Duck/Reprise)



 憧れのB・B・キングとの共演が話題だった「Riding With The King」からわずか9ヶ月という短いインターバルで発表されたこの新譜は、ポピュラー・アルバムでもブルース・アルバムでもなく、それらが渾然一体となった、いわばクラプトン・サウンドの集大成ともいえる作品となった。アルバム・タイトル「Reptile」とは、爬虫類転じて卑劣漢といった意味だが、クラプトンの生まれ育った地方では、この言葉を極めて親近感を込め、敬意を払って『馬鹿ったれ、相棒』という意味で使われていたそうだ。ジャケットからして幼年期の写真がふんだんに使われているこのアルバムは、クラプトンが幼年期に年齢の離れた兄として信じ込まれていた叔父(母方の弟)であり、クラプトンの趣味志向に多大な影響を与えた独りのレプタイルであったエイドリアンと、その妻シルヴィアに捧げられている。約半数がカバー曲で占められているが、オープニングのタイトル曲「Reptile」はガット弦の柔らかさを活かしたインスト・ボサノヴァ。軽快なタッチが聴く者を「あれ?」と思わせる意外性を持った曲。続いてブルージーな曲に転換し、JJ・ケイルの「Travelin' Light」では骨太な歌声とギターを聴かせ、4曲目でライト・ミディアムなオリジナルへと続く。覆面プロジェクトT・D・Fでの共演以来、タッグを組んでいるサイモン・クライミーの手による2曲は実にクラプトン節を理解した曲だし、目玉の「I Ain't Gonna Stand For It」はスティーヴィー・ワンダー、「Don't Let Me Be Lonely Tonight」はジェイムス・テイラーのカバーだが、思った以上にソウルフル。見事なまでにクラプトンの世界に取り込まれ、奏でられるパワフルかつソウルフルなヴォーカルとギターは圧巻。オープニング同様にガット・ギターによる「Son & Sylvia」(サンはエイドリアンの愛称)は、叔父夫婦をタイトルにし、ゆったりとしたインスト曲で穏やかな余韻とともにアルバムを締めくくっている。約半数がカバー曲で占められているが、エイドリアンに受けた影響をそのままに、自分のやりたい音楽を肩肘張らずに自分のスタイルで表現することで、亡き叔父に対する追悼としているようだ。(小松)
PILGRIM (1998, Duck/Reprise)



 「Unplugged」からは早6年、あの腰のすわった前作「From The Cradle」から4年振りにリリースされたこのアルバム、とかく評判はよくない。確かにスティーヴ・ガッドやネイサン・イーストなど名うてのスタジオ・ミュージシャンや、僕の好きなポール・キャラック、トニー・リッチといった定評ある人たちを配したサウンドは聞き流すにはいいけどクラプトンのアルバムにしちゃあちょっと軽すぎるんじゃないの、という感じは否めない。それ以上に全体的に「なんか違うぞ」的な雰囲気を醸し出しているのが、今回全面的に曲を一緒に書いて、プロデュースも共同してやってる、サイモン・クライミーの存在だ。トップ40ファンにはあの『Love Changes Everything』のヒットで知られるクライミー・フィッシャーの片割れだが、どうもこいつとの共作の曲がピンとこない。第一クラプトンのギタープレイを引き立てるような曲やプロデュースになってないとこがガンだ。おまけにクラプトンも何か情けないボーカルが多い。ヒルビリー的な『Fall Like Rain』みたいな曲、もっとやってくれればいいのに、と欲求不満に陥るのでした。(阿多)


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