TRACY CHAPMAN

TELLING STORIES (2000, Elektra)


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前作からは「Give Me One Reason」という大穴大ヒットが出たのでアルバムも久々のヒット作となったが、今回はまた売れなかった。まあ、デビュー当初から言われている通り、この人の音楽はそもそも大ヒットするような種類のものではないから、その点は気にしなくて良い。むしろ、売ろうということを意識せずに手堅く作ってくれたほうが良質な作品になる、と歓迎すべきだろう。
これもシングルヒットなど1曲も望めそうにない地味なフォーク〜ブルース系の作品。必要最小限の演奏に、トレイシーの少しかすれた、落ち着きのある声。聴き手に安心感を与えてくれる、優しくて、自信に満ちた声だ。ラジオが歓迎しそうなキャッチーなメロディの曲はまったくないが、どれも丁寧に作られたのがよくわかる繊細なメロディに満ちている。あまり「明るい」とか「楽しい」と形容できる曲調のものはなく、むしろ全体的な曲調は「暗い」と表現するほうが正しい。しかし、不思議な温もりがあって、暗いんだけど冷たくはないので、聴いていて疲れない。ただ、あまりにも地味だ。たぶんトレイシー・チャップマンに興味を示す人は、そもそも超キャッチーな曲とかは期待してないだろうから、これでいいんだろうけど。(しんかい)
NEW BEGINNING (1995, Elektra)


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 あの「Fast Car」から、もう9年。デビュー当初はフォークの人という印象があったが、今作なんかはすっかりシンガーソングライターという感じ。このテの人は、作品を重ねる毎に「丸く」なっていって、音も厚みを増したゴージャスなものになり、何かデビュー当初のファンにとっては違和感のある代物になってしまうことが多かった。この人の場合も、音的にはだいぶ丸みのある、暖かい感じのものが増えて、アコギ一本でびりびりのハイテンション、という曲は無くなった。しかし音は柔らかくなっても、凛とした姿勢は変わっていない。「社会派」という言葉を使ってしまうと語弊があるが、確固たる自分の世界を持っていながら、そこに閉じこもってしまわずに、周りの社会の動きを捉える鋭い嗅覚を持ち合わせている。大半の曲が5分以上と長く、どの曲も地味で平坦な展開なんだが、退屈はしない。ちなみに「第二のGive Me〜」みたいな曲は全然ない。(真貝)


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