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「僕は自分自身の立場、年齢相応の知的・精神的・哲学的な見地から曲を書くのが一番だと思っている。だからもうもがき苦しむ必要はない。もう充分に経験してきた。僕は若者でいる時期が長過ぎたんだよ。もう若さはいい。年をとっていくのが嬉しいよ。」半ばヤケクソ気味な台詞ではあるが、遂にボウイは“オヤジ”であることを受け入れた。今年55歳。まだ引退するほどの年ではないが、若者たちと張り合うような年でもない。
本作をプロデュースするのは“ボウイを創った男”トニー・ヴィスコンティ。デビュー当初と、70年代後半の一連の作品をプロデュースしてきた人物。発売前の話題はこの点に集中し、ボウイの新作としてはここ数年なかった盛り上がりをもって迎えられた。しかし、実際にそれがこの作品にどれほど影響を与えているのかは正直言ってよくわからない。ここにあるのは“最近のボウイっぽい音”。決してトニー・ヴィスコンティが70年代のボウイを蘇らせているわけではない。冒頭でボウイが語ったように、今の彼のありのままの姿が、ここにある。ゆったりと大きな流れが全体を貫く。怒りも、迷いもない。ボウイは泣かないし、叫ばない。流れの中に身を投じ、今の彼にできるベストの曲創りに徹する。
今回は大半の演奏も彼自身が手掛けている。かなり出来のいい曲もいくつかある。これでいい。世のオヤジ・アーティスト達がお手本とすべき、ベテランの気品に満ちた気高き作品。(しんかい)
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